研究期間全体の結果として構築したシステムResponse Collectorは、授業の映像を配信し、映像に対して質問を追加し、映像をみたときの印象、たとえば、「難しい」、「重要」、「びっくりした」などのマークを集約し、それを教師ばかりでなく、学習者の間で共有できるシステムであり、ユーザからのフィードバックを参加者と教師に共有するシステムを作り、それを実践することができた。作成したシステムは、反転授業とよばれる授業形態、すなわち、学ぶべきコンテンツの多くを対面授業のまえの予習として映像などで、まなび、それを踏まえて議論するという授業形態で有用性があることがわかった。 2019年度においては、主に普及のための活動を行った。国際会議での紹介に始まり、クラウド上にシステムを動作させ、デモができるような環境を整備した。同時に、東京高専の数学、阿南高専のコンピュータリテラシの授業で使用する実績を積んだ。この過程で、開発したシステムをより実用的にするために、多くの作業を行った。前年度までは、学習者のための操作インタフェースは完成していたが、学習コンテンツの登録削除や学習者の登録などは、インフラで使用しているデータベースに直接に操作することが必要で、開発者でない教師が利用するのが難しい状態になっていた。また、昨年度までは、一つの組織ごとにサーバを用意する設計となっており、学習コンテンンツや学習者のデータベースはフラットであるため、一つのサーバを複数の組織でつかうことには不具合があった。このような背景から、教師のための管理インタフェースを整備することと、一つのサーバで多くの組織をサポートするようにシステムを拡張した。
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