研究課題/領域番号 |
17K00486
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
飯塚 徳男 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 教授 (80332807)
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研究分担者 |
浜本 義彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90198820)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | eラーニング |
研究実績の概要 |
本申請研究では、IT技術を活用しWeb経由でリアルタイムに、個々の患者の症状に対応可能な漢方薬の運用情報や漢方基礎理論を楽しく学び、その学習効果を客観的に評価する漢方eラーニングセットを開発することである。平成29年度はweb (http://j-kam.ykkampo.jp/)を開設しネット環境の整備とシステム作りを行った。快諾を得た20名以上の漢方専門医から、55症状に用いる漢方薬に関する汎用頻度をアンケート形式で回収し重み付けを行い、データマイニングにより統計的パターン認識理論を応用できる環境に変換した後に、Bayes識別則に基づき確率計算を行うようにプログラムしたシステムを構築した。漢方医師5名、薬学部学生5名にパソコンから専用のホームページにアクセスして、このシステムの処方選択能力の精度や実用性を評価した。さらに、Webを介したWebテストシステムも平行して開発した。とくにwebテストシステムはスマホでも実施できることを、医師を対象とした漢方講義後のwebテストで検証中である(2018年4月22日に施行した漢方教育セミナー後の習熟度判定テストとして、5月7日から3日、オンデマンドでアクセスして20問の五者択一式テストを受ける試みを現在施行中)。 また、関連する内容を第68回・日本東洋医学会シンポジウム17(飯塚徳男、浜本義彦、瀬川誠、田中耕一郎、中永士師明、宇宿功市郎 タイトル 漢方医学教育の現状とこれから:Web時代の漢方医学教育)にて発表し、関連論文を英文誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来の予定通り、平成29年度はネット環境の整備とシステム作りを行った。システム作りは既に快諾を得た漢方専門医27名から、55症状に用いる漢方薬に関する汎用頻度をアンケート形式で回収し、データマイニングにより統計的パターン認識理論を応用できる環境に変換できた。さらに、Bayes識別則に基づき確率計算を行い、自動処方システムを構築した。外部評価者10名に専用のホームページにアクセスしてもらい、この自動処方システムの処方選択能力の精度や実用性の検証が行われた。これら一連の成果を日本東洋医学会シンポジウムで発表するとともに、英文誌投稿を行っている最中である。さらに、次年度に予定していた研究内容であるスマホ対応型に既に移行できた。以上より、平成29年度は概ね予定通りに研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
性能向上を目指す意味で、多くの漢方専門医に声かけをして本研究への参加を促しているが、まだ目的の人数(300名)には遠く及ばない。この解決策として日本東洋医学会・中国四国支部の専門医・指導医への声かけを行う予定である。また、仮に予定数の1/3である100名に留まった場合でも、高性能化を図るために、Bootstrap理論やleave-one-out cross validation法や人工的にデータそのものにバリエーション/ノイズを持たせ頑健性を高める工夫も平行して行う予定である。なお本申請期間中に自動処方システムの実用化レベルまで到達しない場合でも、実用性のある評価システムの構築には既に成功しており、今後、漢方講義を受けてその後で習熟度判定のためのweb testを受験してからEラーニングへと進む流れも検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入予定であったソフトをまだ購入していないため、その分が余剰金となった。次年度に購入予定であるので問題はないと考えている。
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