研究課題/領域番号 |
17K00490
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
吉崎 弘一 大分大学, 学術情報拠点, 准教授 (10351785)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学習支援システム / 学習プラットフォーム / eラーニング / Web API / REST API / IMS OneRoster / 情報連携 |
研究実績の概要 |
本研究で構築する学習プラットフォームの中核となる、学習支援システム(LMS:Learning Management System)と学務情報システム(SIS: Student Information System)の2つのシステム間で、学務情報をAPI連携する機能を開発し、実践評価を行った。その際に、国際標準規格であるOneRoster v1.1 に基づいた情報連携を実現した。なお、OneRoster規格では、Class Roster、ResourcesおよびGradebook Resultsの3 種の情報共有を可能にするが、本研究では、開講授業や履修者情報を取り扱うClass Rosterに属する情報のみ利用している。 この情報連携では、SISが直接提供するOneRoster規格に基づくCSVファイルのデータを、蓄積およびフォーマット変換して同規格に基づくREST API として学務情報を提供するサーバを開発して利用した。この国際標準規格に基づくAPIサーバを開発したことで、SISが管理する学務情報をSIS外でも効率的に活用することを可能にした。また、 APIサーバに簡易なデータ加工機能を実装したことで、APIクライアントにおける学務情報の柔軟な活用も実現している。このAPIから学務情報を取得するLMSとして、オープンソースソフトウェアのLePoを用いて、情報連携機能の実践評価を行った。この実践評価では、研究代表者が所属する大学で開講する授業の開講学期、授業名、担当教員/履修者等の情報をAPI経由で取得し、それらをLMS上のデータに反映させ、問題なく実用できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、学務情報システムが持つ学務情報をREST APIで提供するOneRoster APIサーバ、および同APIを利用するクライアントとしてのLMSの開発は完了しているが、その他のAPI連携システムの開発が遅れている。また、クライアント側でUIを構築するCSR (Client Side Rendering)アーキテクチャについては、JavaScriptフレームワークのVue.jsを利用したWebサービスを開発中だが、SSR (Server Side Rendering)と比べて開発時間が予想以上に必要となることが分かった。このことを踏まえ、Web API から取得したデータをCSRで活用するアーキテクチャについては、学習プラットフォーム全体の一部でのみ利用する方向で、開発計画を見直している。 なお、本研究で開発したOneRosterAPIサーバと学習支援システムLePoの連携については、大学ICT推進協議会2018年度年次大会(2018年11月 / 札幌市)で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した教学に関するREST APIサーバ / クライアントアプリケーションを更に拡充し、API連携する学習プラットフォームでより多くの情報と機能の共有を実現する。その際に、本研究で開発するシステムだけではなく、既存のオープンソースソフトウェアとのAPI連携についての検討・実証実験を行う。また、IMS/ADL等の標準化団体が策定する教育の情報化に関する各種規格を確認した上で、規格に基づく教学情報のシステム間連携を進める。プラットフォームとして各々のアプリケーションに提供する機能を整備し、特にSSO (SIngle Sign-On)、学習ログの保存、ログ解析をするための機構を実装することを計画している。 また、本研究でも利用し、本研究の代表者らが開発する学習支援システムLePoは、学習教材に対する注釈機能とその活用に特色を持つ。今後、学習支援システムLePoから、学習者の注釈情報を取得し、その分析と学習へのフィードバックをAPIを介して支援するシステムを、開発・実践評価する予定である。 なお、本研究で開発したAPIサーバ / クラインアントについては、順次、オープンソースソフトウェアとして公開することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していたシステムカスタマイズの発注を、次年度に延期したため。
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