研究課題/領域番号 |
17K00500
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
井垣 宏 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (20403355)
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研究分担者 |
水谷 泰治 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (10411414)
玉田 春昭 京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (30457139)
福安 直樹 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60324993)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学習データ分析 / PBL / コミュニケーション評価 |
研究実績の概要 |
今年度は,これまでに構築してきたバージョン管理システムGitを利用した開発状況データの収集や,Amazon Web Servicesなどの仮想環境を利用して構築したサーバ管理演習におけるユーザのコマンド実行履歴,ファイル編集履歴,サーバ状況確認履歴といったデータ収集環境をブラッシュアップし,数10名の学生が実際に利用可能な環境を構築した.また,データ収集環境を実際の演習に適用し,50名程度のサーバ管理演習における各種ログデータを収集・分析し,ユーザ間の比較による進捗状況の把握手法を提案し,実際に複数の学生が直面したトラブルがGUIを通じて特定できることを確認した. また,今年度に目標としていた社会的活動状況の取得については,ユーザ間の対話状況を360度カメラを利用して記録する仕組みを作成し,6名程度の被験者によるグループディスカッションの評価について,検討を開始した.実際に複数回実験を行った結果,グループディスカッションにおいて,対話相手を見るというコミュニケーションの客観的評価指標の観点において,30%程度の精度で対話状況の評価が可能であることがわかった.今後は,より詳細な分析を行い,顔の向きや発話状況にもとづいて,多様な客観的指標にもとづくコミュニケーション評価につなげていきたいと考えている. また,現時点では映像記録のみからの対話状況の推定・評価を行っているが,今後ユーザに負荷を与えない形での他のデータ収集を行い,より精度の高い社会的活動状況の評価も行っていきたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
技術的活動の収集・分析に加え,社会的活動状況の収集を予定通り開始することができた.今後どのレベルまで持っていくことができるか次第ではあるが,当初目標に沿って進めていくことができると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
サーバ管理演習等における学生の開発履歴にもとづく技術的活動状況の分析や顔画像を用いたコミュニケーション評価にもとづく社会的活動状況の分析を現時点では行っている.今後は,開発履歴,コミュニケーション評価の学生間比較による偏りの解析を行い,より具体的な学生の振る舞いのラベル付けを行っていくことを予定している.社会的活動状況と技術的活動状況の関連付けやラベル付けした結果を用いた機械学習による学生の自動評価といった観点で,今後の研究を進めていきたい. また,当初計画ではユーザ着用型と環境設置型の2種類のセンサを利用したデータ収集手法を検討していたが,社会的活動状況分析のための複数の被験者へのインタビューなどを通じて,ユーザ着用型の負荷が当初想定より大きいと思われるため,環境設置型の比重を増やして社会的活動状況の分析につなげていくことも今後の検討課題として考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に国際会議での発表を予定しており,原稿の投稿を行ったが,その原稿が採択されなかったために原稿を修正し,平成30年度に別の国際会議での発表を行った.そのため,平成29年度に国際会議参加・発表費用として想定していた金額がそのまま利用されず,その金額分が計画のズレとして次年度使用額にそのまま残ることとなった.未使用分は令和元年度に繰り越して,国際会議への参加費用として使用する予定である.
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