研究課題/領域番号 |
17K00501
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
福井 哲夫 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70218890)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 数式入力インタフェース / 知的学習支援システム / 数学eラーニング / 知的UI / 機械学習 / 理数系IT活用教育 |
研究実績の概要 |
平成29年4月~7月:数式入力のインテリジェント化に有用な基礎技術の情報を収集すると共に,数式変換の予測アルゴリズムに,機械学習を応用し,多項式の事例データを中心に精度測定した結果,高精度を得た.この結果は論文としてSpringer Proceedings in Mathematics & Statistics, Vol.198に掲載された.これをさらに一般の数学に対応させるための問題点を検討し,改善を図った.この結果はHCI国際会議で口頭発表し,論文集HIMI 2017, Part II, LNCS 10274にも掲載された. 平成29年8月~12月:数学eラーニングの問題コンテンツ共有を目的とする研究グループに参加し,本研究課題の成果を数式入力部分の改善に貢献すべく,数学問題仕様書の策定に加わり,その成果を第42回教育システム情報学会(JSiSE)全国大会で口頭発表を行った.また,数学eラーニングへの応用のための情報収集のために京大数理解析研究所で開催された「数学ソフトウェアと効果的教育」研究集会に参加した. 平成30年1月~3月: 様々な数学文書作成のために,提案している数式入力インタフェースの出力機能を拡張し,Wordの数式線形形式にも対応できるようにした.この成果を理数系大学数学教育に関する国際ワークショップIWMS(1月)にてポスター発表すると供に,成果をProceedings of IWMSに論文として報告した.2月には,本学,武庫川女子大学で委員として開催運営を行った情報処理学会「コンピュータと教育研究会」に参加し,研究成果の応用のための情報を収集した.また,3月にはオーストラリア・シドニーで開催された学習解析と知識に関する国際会議LAK2018に参加し,課題目標である学習課程の分析に関する情報を収集した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は,(1)インテリジェントな数式入力方式のための機械学習アルゴリズムを改良し,より柔軟で,高速・高精度な予測精度を実現することと,(2)途中計算過程を記録しやすい数学文書エディタの開発を行うことであった.しかし,平成29年度に研究協力者である助教の本務業務が忙しくなったため,本研究のエフォートは若干低下した.(1)については,入力する数式対象を小さな部分ごとに処理する,より柔軟な方式に改良することには成功し,7月の国際会議HCIで発表したが,より高速・高精度なアルゴリズムの改良への取り組みは,若干遅れている.(2)については,(1)の成果を活用し,ベースとなる数学文書エディタのプロトタイプを開発し,提案の数式入力インタフェース実装に成功した.この成果は平成30年7月の国際会議で発表の予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度前半は,インテリジェント化された数式入力方法をより高速で高精度になるようなアルゴリズムを,自然言語処理で成功しているいくつかの方法を拡張して模索する予定である.また,この研究とは独立して遂行できる,数学文書エディタに途中計算過程を入力しやすくする機能を追加していく計画である.これらの成果を,平成30年度後半には,被験者実験によって評価したいと考えている.特に,数学eラーニングシステムへの実装および学習実験については,平成30年度の研究成果によって,平成31年度に順調に進められるものと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
繰越額は誤差の範囲であり,上記研究推進計画に基づいて,予定通り使用していく.
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