研究課題/領域番号 |
17K00501
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
福井 哲夫 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70218890)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 数式入力インタフェース / 知的学習支援システム / 数学eラーニング / 機械学習 / グラフ作成ツール / 理数系IT活用教育 |
研究実績の概要 |
令和元年(平成31年)前半は,平成30年にインテリジェント数式入力インタフェースを応用したグラフ作成ツールを提案し,国内の学会等の発表で反響があったため,その成果を7月にカナダ・モントリオールで行われた国際会議Applications of Computer Algebra (ACA2019)にて口頭発表し,オープンアクセスの出来るACA 2019: Booklet of the 25th Conference on Applications of Computer Algebraに論文が掲載された.また,5月には被験者実験による評価を得るため,3年ゼミの学生に試用させ,6月には武庫川女子大学附属高等学校2年生・3年生約40人に試用実験を行い,評価データを収集した.それを分析した結果,グラフ作成にかかる時間は提案ツールの方が従来の有名なツール(GeoGebra)と比べて約2倍短く,主観満足度はほぼ同等であることが判り,有用性を示すことが出来た.しかし,ミスしたときの修正のしやすさは満足度が低く,AIによる数式予測変換が遅いという課題が残った.これらの成果を数理解析研究所(RIMS)研究集会「数学ソフトウェアとその効果的教育利用に関する研究」にて口頭発表(8月)を行い,まとめた論文がRIMS講究録に掲載(12月)された.10月にはAIによる数式予測変換の処理スピードを改善し,目標のシステムはほぼ完成した. しかし,これらの成果システムを公開用サーバに構築し,多くの人に試用できるようにする予定であったが,新型コロナウィルスの影響で整備に至らなかった.また,3月に成果の発表を予定していた情報処理学会第82回全国大会,国際会議IUI2020は開催中止となったため,本課題の研究期間を1年延長するに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで,インテリジェント数式入力インタフェースの発展的応用として,次の3つのシステム(1)数学文書エディタ,(2)スマートデバイス向けUI,(3)グラフ作成ツールの開発を実現できた.特に(1)の数学文書エディタおよび(2)の評価に関しては,平成30年度の状況報告にあるように,既に一定の成果を得ており,実績を残している.(3)のグラフ作成ツールについては,令和元年度にその実験的評価のデータを収集し,従来ツールより操作時間の効率の良い結果が得られ,その有効性を示すことが出来た.また,数式入力インタフェース部分のAI予測変換エンジンの計算速度が大変遅いという新たな課題も,年度の後半に解決し,大きな成果が得られた. 残る課題は,これらの成果を広く公開するため,国内外への発表し論文にまとめるとともに成果システムのサーバ公開を実現する計画であった.しかし,令和2年度に入り,世界中をおそった新型コロナウィルスの影響により,発表を予定していた情報処理学会第82回全国大会および知的ユーザインタフェースに関する国際会議IUI2020(イタリア)が開催中止となり,成果を公表する機会を失った.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度前半は,インテリジェント数式入力インタフェースの発展的応用として開発してきた(1)数学文書エディタ,(2)スマートデバイス向けUI,(3)グラフ作成ツールを多くのユーザが使いやすいように整備し.成果システムのサーバ公開を実現する計画である.最後に,研究課題の成果を論文にまとめるとともに国内外の研究集会にて発表したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
上記研究進捗状況で報告したように,新型コロナウィルスの影響により,発表を予定していた国内の学会および国際会議が開催中止となり,旅費・交通費およびサーバ整備費が執行できなかった.次年度使用額は,上記研究推進方策に基づいて,執行していく.
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