コンピュータのセキュリティは、一般の利用者にとって直観的に理解しにくいものである。本研究では、サイバーセキュリティの普及と啓蒙を目的として、直感的にコンピュータにウイルスが感染した場合を把握できるシステムを構築した。このシステムは、トラフィック量に着目して分析している。コンピュータにウイルスが感染すると、ネットワーク上に異常なトラフィック活動を行うことに着目している。しかし、このトラフィック量は一般的に捉えることが出来ない。一般的なユーザにとってそれらはコンピュータのバックグラウンドで動作しているものであって、それを感じることはほとんど出来ていない。そこで、力覚装置を利用して誰にでも経験できるようなシステムとして構築し、その使用感について明らかにした。 このシステムはLANを構築し、接続された複数のクライアントコンピュータを監視している。これらのコンピュータの通常動作のトラフィックを監視している。監視時間を一定時間として設定し、それらのコンピュータの挙動を分析している。それらの通常の挙動から、異常な挙動へと変化したコンピュータをピックアップして分析する。そのネットワーク上のコンピュータの挙動であるトラフィック量を水流に見立て、力覚に変換した。力覚は変換された水流のように、監視者に直接的にトラフィック量を感じることが出来る。 実際のLANシステム中で、感染したコンピュータを直感的に感じることが出来るように設計した。この異常値は特にホップ数等監視している。 また、力覚特性については、使用感が重要なために流量の感じ方や触る行為や切断する行為などの実験をおこない特徴量を分析している。現実にあるような感覚の復元を目指している。また、監視装置としても利用できるように、画面におけるトラフィック量を色による識別を心理学的に、また濃度・太さとして表現して視覚能力も高めている。
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