研究課題/領域番号 |
17K00527
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
谷水 雅治 関西学院大学, 理工学部, 教授 (20373459)
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研究分担者 |
細野 高啓 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (30367065)
若木 重行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 技術研究員 (50548188)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 同位体 / ICP / 微量元素 / 地下水 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
阿蘇山西麓域での地下水流動において、地下水中に溶存する微量金属元素の濃度と同位体比を用いて、水質変化や水塊の指標としての可能性を評価する本課題において、今年度は昨年度に採水した試料について、本申請により確立した金属元素の濃度および同位体比の分析手法を適用して、広域範囲における測定値の傾向を把握するとともに、データを補完するための採水を追加で行った。 データ解析の結果、以下のような知見が得られた。まず、流動域の最下部の有明海に面した沿岸域では、地下水流動の停滞が認められ、地下水の還元化に伴う有害元素の溶出が認められている。沿岸域でのホウ素およびリチウム濃度と同位体比を用いた解析では、沿岸域での地下水流動の方向に従った濃度と同位体比の上昇が認められた。このことは、海水に由来する成分の地下水への付加を示唆しているが、主要溶存成分では変化が認められない地域においても、微量元素成分では化学成分の変化が認められた。今後は付加された化学成分と帯水層の鉱物組成との関連性を確認する。 さらに、阿蘇山西麓域での広域的なウラン濃度傾向の解析では、酸化還元電位の変化とともにウラン濃度の変化が認められた。これはウランの価数変化に伴う溶存挙動の違いを反映していると思われるが、地域ごとの変動も大きいため、ほかの元素との相関性を解析し、同位体比変化との整合性を今後検証する。 当該地域の地下水の採水と化学分析と合わせて、阿蘇山を源流として西方に流動し有明海へと流出する一級河川の白川についても、河川水の採水と化学分析を行った。分析結果と周囲の地下水データとの比較から、一部の地下水において白川からの涵養が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料採取については、地域を網羅した試料採水のなかで、一部の試料は日程調整の問題から十分な量が確保できていないが、本研究の遂行に関しては支障はない。化学的単離法やブランクの確認は終わり、同位体分析手法も確立が終わっており、順調に測定を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
上半期には重元素の単離と同位体分析を終え、下半期ですべてのデータの解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に熊本において共同研究者との研究進展状況の確認や今後の研究計画の打ち合わせおよび試料採水を行う予定であったが、最終的な日程があわず断念した。次年度の早い時期に打ち合わせと採水を行う予定である。
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