研究課題
(1)積雪分光測定:昨年度に引き続き,積雪の波長別偏光測定を実施し,偏光度に対する反射角・方位角依存性について調べた.その結果,前方反射側は後方反射側に比べ偏光度が高く,ストークスパラメータのQが支配的であることがわかった.また,側方反射側から後方反射側の偏光度は前方反射側の偏光度よりも高く,その方位角・反射角依存性はともに同パラメータのUが支配的であることがわかった.一般にUはQよりも小さく,偏光度に対して無視できるとされてきたが,この結果は,分光測定装置の自動化と観測を高精度に行う事により,偏光度に対しUの寄与も無視できないという基礎的な知見を与えるものである.(2)衛星データの解析・監視システム:気象庁の静止気象衛星ひまわり8号を用いた積雪監視システムの開発を進めた.積雪分布を求めるためのアルゴリズムを開発し,アメダスを含む地上気象データを用いて検証作業を行った.また現業化に向けた調整を行った.
2: おおむね順調に進展している
(1)分光測定装置の自動化と観測を高精度に行う事により,積雪の偏光特性に関する新たな知見を得ることができた.(2)気象庁の静止気象衛星ひまわり8号を用いた積雪監視システムの開発を進め,現業化に向けた調整を行った.現在,JAXAやNASAなどの衛星データ解析・監視システムの構築を行っている.(3)衛星データの解析に必要な汎用性の高い積雪粒子モデルの提案,および衛星データを用いた積雪監視システムに関する学術論文の作成に着手した.
引き続き,積雪監視システムの開発に必要なアルゴリズム開発を行う.JAXAやNASAなどの衛星データを用いた衛星データ解析・監視システムの構築を進める.また本課題を通じて得られた知見を学会発表や学術論文の形で公表できるよう取りまとめる.
当初,学術論文校閲費用として計上していたが,今年度中の執行に間に合わなかったため変更が生じた.この研究費は翌年度分の助成金とあわせて,改めて学術論文校閲費用として使用する計画である.その他,当初予定していた物品の価格に変更が生じたため,(上記の他に)残金が生じた.この研究費は翌年度分の助成金とあわせて,物品の購入費用に充てる計画である.
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
日本雪氷学会
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