研究実績の概要 |
成果の具体的内容:2017年度のPM1及びPM2.5のPM714による1時間値データについて精査した。PM714により得られたPM2.5-1濃度は、補正がかけられていない値であることから、PM1と同様の計算式を用いて補正し、PM1との合計値を得た。当センターで実施している標準法による24時間捕集から得たPM2.5濃度とを比較したところ、両者は概ね整合していた。PM2.5濃度が粗大粒子の影響を強く受けた期間は、PM2.5-1>10ugは5日、PM1/PM2.5<0.5は51日あり、計52日がいずれかに該当していた。 また、7月24日から8月21日に富士山頂で1日単位のPM1採取を行った。採取はPM2.5シーケンシャルサンプラの分級部をPM1サイクロンに交換して行い、試料の水溶性無機イオンと無機元素成分の分析を行った。富士山頂のPM1濃度は1.9±1.7ug/m3であった。PM1に含まれる無機元素の濃縮係数(EFs)を、2017年に許可を得て採取した富士山表土の値を基準として求めた結果、人為起源と考えられる元素(Cr, Ni, Cu, Zn, Ga, As, Rb, Cd, Pbなど)はPM2.5のEFsと比較して2~100倍高く、自然起源と考えられる元素(Mg, Ca, Fe, Sr, Tiなど)は理論値である1に近い値となった。PM1濃度の上昇した期間の気塊の起源を後方流跡線により求めたところ、中国内陸部からの飛来を示唆するものであった。また同時期に、上海、韓国での同時採取も実施した。 なお、夏季には、大気境界層上部の標高1000m前後の大気汚染を調べる目的で、ドローンを用いたO3とPMの観測も行った。適したPM1計が見つからなかったことから、PM2.5で代用した。その結果、PM2.5には大きな差が見られなかったが、上空にO3の高濃度気塊の存在が分かった。
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