研究実績の概要 |
埼玉県加須市に設置したPM714のテープろ紙を利用し、PM1/PM2.5に変動が見られた期間のPM1とPM2.5-1中無機元素分析を試みた。ろ紙は試料量を確保するため、2スポット(4時間捕集相当)を1試料とした。2017年5月11日18時~12日はPM2.5が平均18.9μg/m3(11~31μg/m3)であり、PM1/PM2.5比は5月12日0時~6時に0.2台に低下した。その後9時から上昇し、12時以降は0.7以上に上昇した。風向は12日12時頃まで北系、その後南系であった。 比が低下した時間はPM2.5-1のAl, Ca, Ti, Na, Znが増加したが、9時~12時はPM1のV, Cd, Pb, Crが増加した。前者は自然起源元素であるのに対し、後者は人為起源元素である。測定値地点近傍に大規模な発生源が無いため、夜間から早朝のPM2.5-1増加は自然起源粒子の増加、日中のPM1増加は都市部からの輸送によるものと説明できる。 夏季に富士山頂でPM1の昼夜別採取を23日間行った。捕集はPTFEろ紙を用い、6時と18時に交換した12時間捕集を行った。平均PM1濃度は日中3.2μg/m3、夜間2.3μg/m3であった。土壌粒子の指標であるAlはPM1の方がPM2.5と比べて低濃度であったが、PM1中のAlにも日内変動が見られ、富士山のような巻き上げ粒子の多い環境では、PM1でも完全には自然起源粒子を除外できてはいなかった。石炭燃焼の指標としてAsに着目し、As/V比の調べると、7月28日~30日に0.61~0.94に上昇、8月3日夜間は2.5と高値となった。7月下旬は、7月27日に台風6号の影響が考えられた、8月3日夜間は後方流跡線で大陸からの気塊輸送が示唆された。PM1を対象とした昼夜別採取により、夜間でよりクリアに大陸方面からの長距離輸送の影響をとらえることができた。
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