研究課題/領域番号 |
17K00536
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
茂木 守 埼玉県環境科学国際センター, 研究推進室, 副室長 (10415391)
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研究分担者 |
堀井 勇一 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 専門研究員 (30509534)
竹峰 秀祐 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 主任 (40512380)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 有機フッ素化合物 / 河川水 / 下水処理場 / 生分解 |
研究実績の概要 |
2019年度は、埼玉県内で環境基準点を有する34河川の河川水(37検体)について、有機フッ素化合物であるPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質やフッ化アルキル鎖長の異なる類縁物質、さらにリン酸系有機フッ素化合物(計48物質)の濃度を測定した。これらの地点は継続的に調査を行っており、2015、2017、2019年度のPFOSの幾何平均濃度はそれぞれ1.9、1.5、2.0 ng/L、PFOAは3.6、4.2、3.6 ng/Lと推移しており、近年はこれらの濃度レベルに落ち着いてきている。PFOSの類縁物質では、PFBSの2015、2017、2019年度の幾何平均濃度が、それぞれ0.9、1.2、1.5ng/Lと徐々に増加しており、鎖長の短い物質への代替使用などによるものと推察される。PFOAの類縁物質では、PFHxAの幾何平均濃度が3.5 ng/Lと、PFOAと同等のレベルで検出されており、鎖長の短い物質への転換が図られていると推察された。また、今回初めて河川水中のリン酸系有機フッ素化合物濃度を測定したが、37地点中8:2diPAPが9地点、PFHxPAが1地点で検出下限程度のレベルで検出されただけであった。 埼玉県内の9か所の流域下水処理場について、流入水と放流水の有機フッ素化合物(計48物質)濃度を測定した。その結果、一部の下水処理場の流入水と放流水から比較的高い濃度のPFBS、PFPeA、PFHxA、PFHpA、PFOAが検出された。 また、魚類に対する甲状腺ホルモンかく乱作用が報告されているフッ素テロマーリン酸類(8:8PFPi)について、水環境中の生分解挙動を解明するため、長期生分解試験のための予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
河川水中の有機フッ素化合物濃度を継続的に定点観測することにより、濃度変動を的確にとらえることができた。また、9か所の流域下水処理場の流入水、放流水の有機フッ素化合物を調べることで、放流先河川等との比較検討ができる。さらに2013年に同一の流域下水処理場で流入水と放流水中の有機フッ素化合物濃度を測定しており(科研費基盤研究(C)23510020)、その結果との比較検討もできる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2019年度に得られた河川水データと流域下水処理場の流入水、放流水データ等からそれらの関係を解析する。また、魚類に対する甲状腺ホルモンかく乱作用が報告されているフッ素テロマーリン酸類(8:8PFPi)について、「ISO14592-1:表層水または表層水/底質懸濁物のフラスコ振とうバッチテスト」に準じた方法で長期生分解試験を行い、水環境中の生分解挙動を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)購入資材の値引き等により差金が生じた。 (使用計画)有機フッ素化合物の生分解試験、分析測定に必要な器具、標準試薬等を購入する。
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