研究課題/領域番号 |
17K00536
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
茂木 守 埼玉県環境科学国際センター, 研究推進室, 副室長 (10415391)
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研究分担者 |
堀井 勇一 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 専門研究員 (30509534)
竹峰 秀祐 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 主任 (40512380)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 有機フッ素化合物 / 河川水 / 下水処理場 / 生分解 |
研究実績の概要 |
2020年度は、魚類に対する甲状腺ホルモンかく乱作用が報告されているフッ素テロマーリン酸類(8:8PFPi)について水環境中の生分解挙動を解明するため、河川水-底質培養系を用いた好気的長期生分解試験を実施した。培養期間は196日で、28日ごとに被験物質を含む12種類のリン酸系有機フッ素化合物をLC-MS/MSで測定した。100 ngの8:8PFPiを実験系に添加したところ、活性系、滅菌系とも8:8PFPi濃度が徐々に減少し、196日目には初期添加量のそれぞれ25%、41%しか残存していなかった。8:8PFPiの濃度は、常に活性系よりも滅菌系で10~25%、平均で17%高かった。また、今回測定した他のリン酸系有機フッ素化合物は、ほとんど検出されなかった。特に生分解によって生成が予想されたペルフルオロオクタンリン酸(PFOPA)が検出されなかったことは予想外であった。活性系と滅菌系における8:8PFPiの半減期は、それぞれ103日、136日であった。これらのことから、8:8PFPiは非生物活性による分解作用を受け、生物活性によりその分解は促進されることがわかった。 本研究を通して、リン酸系有機フッ素化合物の水質分析方法を確立し、河川水や下水流入水、放流水中のリン酸系有機フッ素化合物の存在実態を把握することができた。また、水環境中におけるペルフルオロスルホンアミドエタノールリン酸エステル類やフッ素テロマーリン酸類の生分解挙動を解明することができた。さらに下水処理場の放流水では、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)の前駆物質となるリン酸系有機フッ素化合物は検出されなかった。
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