研究課題
【ヒトTLS因子の翻訳後修飾に関わる因子の探索と解析】split-GFPシステムを用いてヒトTLSポリメラーゼのユビキチン(Ub)化を解析するため、現在はUb-GFPの高発現細胞の作成を継続している。一方、Poletaと結合する脱Ub化酵素を同定し、この酵素を特異的にノックダウンしたヒト細胞において、Poletaの安定性が低下することを示し、脱Ub化を介したPoletaのリサイクル経路があると考え、細胞のDNA損傷感受性などの応答における脱Ub化酵素の役割を解析中である。【TLS反応に関与するクロマチン構造変換因子の探索と解析】ヒトPoletaのクロマチン結合に関わる因子として同定した複数のクロマチン構造変換因子に対して、紫外線照射に応答したPoletaの損傷部位への局在への関与を解析した。結果、同定した因子のなかに照射部位へのPoletaの効率的な集積に重要な因子が含まれることを新たに見出した。【生細胞イメージングによる染色体複製反応とTLS反応の解析】780 nmフェムト秒レーザーを用いた三光子吸収システムにより、任意の核局所に紫外線照射に相当のDNA損傷を与え、損傷部位へのPoletaの集積をGFPで追跡する系を確立した。これを用い、上記のクロマチン構造変換因子に関する解析を行った。また、複製因子PCNAの局在パターンも追跡することで、特にS期の進行に注目しながら細胞周期を通したPoletaのDNA損傷部位への集積についても解析を継続している。【複製フォークの安定性に寄与する因子の解析】TLS経路の有無で複製フォークの安定性がどのように影響を受け、そこにどのような因子あるいは経路が関わるかを調べる目的で、iPOND(isolation of proteins on nascent DNA)法により複製フォークの安定性に関与する因子の網羅的な解析を始めた。
2: おおむね順調に進展している
研究計画で掲げた項目について、一部ではやや遅れがあるものの、他の項目では順調に計画が進められていることや課題の進捗に関わる新たな計画に着手するなど、次年度の発展が十分期待されることから全体として「おおむね順調に進展している」と評価した。
【現在までの進捗状況】で評価した通り、当初の計画をおおむね順調に推進していることから、計画の大きな変更等は行わない。
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