研究課題/領域番号 |
17K00558
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
喜納 克仁 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (70360534)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グアニン酸化損傷 |
研究実績の概要 |
酸化条件において、G→T点突然変異やG→C点突然変異が観測されているが、グアニン酸化損傷 である8オキソ グアニンでは G→C 点突然変異を説明できない。申請者はオキサゾロンが G→C 点 突然変異を説明できるグア ニン酸化損傷であると報告したが、オキサゾロンは徐々に分解することが最近明らかとなった。 そこで本研究では、申請者が発見した新規グアニン酸化損傷 X について、構造決定および突然変異能、修復 反応を調べる。本研究により、X が8オキソグアニンに匹敵する突然変異源になり得るかの可能性を探ることを目的とする。 平成29年度においては、Oz分解生成物Xを含む30merDNAの合成とDNAポリメラーゼによる解析を行った。まず、Oz分解生成物Xを含む30merDNAの合成:原料の5’-CTTGAA-3’から、5’-CTTXAA-3’を得た。この5’-CTTXAA-3’の分子量を解析し、Xがどのような構造を持つのか推測した。その上で、ポリヌクレ オチドキナーゼで5’をリン酸化した上で、ライゲーション法によりXを含む30merDNAを得、この30merDNAに対しても分子量測定を行い、問題なく30merDNAを得ることができた。蛍光色素ラベルした15merのDNAプライマーをアニーリングさせ、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP) を1種類もしくは全種類加え、DNAポリメラーゼIexo-で塩基取り込み・伸長反応の解析を行った。その結果、Xを乗り越えて伸長する上、Gを優先的に取り込むことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学院生がいなくなったことにより、学部学生による遂行のため、計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、DNAポリメラーゼによる塩基取り込み・伸長反応の解析を行う。DNAポリメラーゼα、ζは購入し、DNAポリメラ ーゼδとεは過去の報告のようにプラスミドから調製する。挿入した塩基についての忠実度を調べるため、酵素濃度やdNTPの濃度を変化させ、 速度論的パラメータを求める。 さらに、Xの構造決定のため、分子量測定結果を基盤として、NMR解析を行う。そのために、大量のTXを必要とするため、まずは、手合成でTGを大量に合成した。これをもとに、TGからTXを生成する条件検討を検討し、大量のTXを精製した上で、構造解析を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進展が計画より遅れていること、また、大学から支給される研究費でまかなったことが理由である。平成30年度は、非常勤職員を雇い、そのための人件費、かつ、TXの大量合成にかかる費用、DNAポリメラーゼの調製などで、それなりに支出する予定ではある。
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