研究課題
平成29年度は、ポリイミド中空糸膜モジュールについてHTOと分離等の基本性能を把握すると共に、コールドトラップによる水分捕集性能評価を行った。使用したポリイミド中空糸膜モジュールは宇部興産のUMS-B5である。HEPAフィルターを通した空気は、コンプレッサーを介して膜モジュールに導入される。モジュールの透過側出口はオイルフリーポンプで吸引し、2段こコールドトラップで水分を捕集した。非透過側出口には吸湿剤を詰めたカラムを取り付け、重量変化から透過側での水分捕集率を求めた。膜モジュールの水分透過率は導入される空気の圧力で変化することが予想される。そこで、膜モジュールに導入する空気は0.4MPaGから0.7MPaGまで変化させた。また、膜モジュールにリボンヒーターを巻き、外部温度をコントロールした。圧力と温度を変化させた際の水分捕集率について検討した結果、0.5MPaGで50℃に加熱することで、99%以上の効率を得ることができた。また、捕集された水分について吸光光度計を用いてUV領域の吸収スペクトルを測定した結果、有機物の有無を判断する200nm付近におけるピークは認められず、水分だけが正しく捕集できることが明らかとなった。また、フィールドにおける実測を行った結果から、モジュール内でのメモリー効果は認められなかった。HTを酸化するための疎水性酸化触媒について性能評価を行い、良好な結果を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
宇部興産のポリイミド中空糸膜モジュールについて水分分離について検討を行い、導入空気量や回収水分量を勘案した結果、UMS-B5が妥当であるという結果を得ることができた。また、水分分離と水分捕集の条件設定をすることができた。一方、分離ガスの質量分析は実施ることができなかった。ことから概ね順調に進展していると言える。しかし、モジュール加熱温度の条件は1種類であったが、こちらも良好な結果を得ることができた。このことか、本研究は順調に進んでいると言える。
本年度は平成29 年度に検討したモジュールの中から最適であったUMS-B5を用い、HTO/HT分離に関する条件設定を行うと共に、システムを構築する。また、疎水性酸化触媒をもちいて、HT 酸化システムを組み上げる。この際、大気中濃度の低いHT の酸化と酸化した水分回収のために、カラム内にトリチウムを含まない水を入れ、自然蒸発によりトリチウムフリー水蒸気をキャリアーとして添加する。更に、水分回収システムを組み合わせ、捕集システムを構築し、室内および室外大気を対象に捕集試験を行い、回収水試料中に有機物などの不純物が存在しないことを確認する。
膜モジュールについて、研究協力者より譲り受けたもので本年度の性能評価実験を行うことができた。また、その他の試験用消耗品についても、本年度は性能評価であったことから既存物品を代用して実施した。次年度以降、システムを組み上げるに当たり購入を予定している。また、共同研究者との触媒設置とその詳細に関する打ち合わせについても、本年度に実施する予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Radiation Environment and Medicine
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