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2017 年度 実施状況報告書

放射線応答性免疫因子MICAのヒストン修飾による転写調節機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K00565
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

中島 菜花子  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, 研究員(任常) (50402863)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード放射線応答 / 腫瘍免疫 / ヒストン修飾 / エピジェネティクス / アブスコパル効果
研究実績の概要

放射線応答には、アブスコパル効果と呼ばれる「放射線を照射されていない部位への遠隔効果」があり、アブスコパル効果のメカニズムの放射線治療効果の拡大への応用が期待されている。アブスコパル効果を引き起こす原因の一つに腫瘍免疫の放射線応答が考えられている。Major histocompatibility complex class I Chain-related gene A (MICA)はNatural Killer Group 2 member D(NKG2D)の活性化型リガンドであり、細胞障害性T細胞(CTL)・NK細胞などの腫瘍免疫エフェクター細胞上に発現したNKG2D受容体にMICAが結合すると、エフェクター細胞の腫瘍排除能が活性化する。MICAは腫瘍細胞に高発現する傾向があり、放射線応答によって発現増加することからアブスコパル効果のキープレイヤーであると考えられる。当課題は放射線応答性シグナル伝達経路によるMICAの転写制御を解明する。これまで課題代表者らは、腫瘍細胞株の中にMICA低発現性およびMICA放射線応答抵抗性腫瘍種があることを見出し、MICA低発現性腫瘍細胞がヒストン修飾酵素阻害剤(G9aおよびSUV39H1阻害剤)と放射線との併用によって、MICAを発現回復することを明らかにした。G9a、SUV39H1はヒストン3リジン9をトリメチル(H3K9me3)化する酵素である。リジン9がトリメチル化されたヒストン3は凝集し、ヘテロクロマチン領域を形成することで転写が抑制される。これらのことから、MICAプロモーター領域がヒストン修飾と高次クロマチン形成により発現抑制されていることが強く示唆された。したがって当課題では、腫瘍細胞におけるMICAプロモーター領域のヒストン修飾解析および放射線応答性シグナル伝達経路因子によるヒストン修飾の制御を解析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H29年度は、MICA高発現腫瘍細胞株U2OS・低発現腫瘍細胞株HFLIII・放射線応答抵抗性細胞株A549におけるMICAプロモーター領域のヒストン修飾レベルおよび放射線照射後の変化をCHIP-PCR法により解析した。ヒストン修飾を制御する放射線応答性シグナル伝達経路因子を同定するため、細胞周期別MICA mRNA発現解析法を確立した。

今後の研究の推進方策

腫瘍細胞株のMICA発現および放射線応答誘導性発現を DNA 損傷チェックポイント制御因子阻害剤処理およびRNAi干渉法によるノックダウン処理による影響を、H29年度に確立したレポーターアッセイにより解析する。次にMICA 発現に影響する経路の最下流にある因子(別々の経路の場合は全て)のMICA プロモーター両異域のヒストン修飾の変化に関わる影響を、阻害剤処理下の腫瘍細胞において ChIP-PCR法で同様に解析する。

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公開日: 2018-12-17  

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