MICA高発現でありDNA損傷応答によってさらに発現増加するヒト骨肉腫細胞U2OSの、MICAのmRNA発現をRNA in situ ハイブリダイゼーション法を用いて可視化し、細胞周期マーカーの免疫蛍光染色を重ね、細胞周期別に解析した。MICA発現は、S期からG2期に高く、放射線照射により細胞周期全体で発現増加が認められた。これまでに我々はE2F1がMICA発現を高めることを確認していたため、MICA発現はRbによって発現制御され、DNA損傷応答シグナルと細胞周期調節因子によるRbのリン酸化によって発現調節されていることが示唆された。一方でMICA低発現でありDNA損傷応答抵抗性腫瘍細胞T98Gはヒストン修飾酵素HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)・Suv39h・G9a阻害剤処理および放射線照射によってMICA発現が回復する。ヒストンアセチル酵素p300およびCRB発現阻害によりMICA発現回復が阻害されたため、MICAはp300/CRBによるヒストンアセチル化によって転写活性が高まることが示唆された。しかしHDAC阻害剤・放射線処理によりMICA発現が回復したT98G細胞のMICAプロモーター領域のヒストン修飾をChIP解析およびCUT&RUN法によって解析したところ、H3K4me2の上昇が確認され、リジン特異的脱メチル化酵素(LSD1)の関与が示唆された。
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