今後の研究の推進方策 |
1. 海藻(乾燥ひじき)から抽出したOH-PBDEおよびそのメチル化体について、マウス肝およびヒト肝ミクロゾーム(P450)分子種による代謝反応を行なう。それぞれ代謝物をLC-MS/MSにて同定するとともに、その代謝に関与するP450分子種を特定する。同時に、マウス腸内細菌によるMeO-PBDEの代謝活性化機構を解明する。さらにCaco-2細胞を用いてOH-およびMeO-PBDEの腸管膜透過性を評価する。 2. 海藻成分として特定した6-OH-BDE47, 2-OH-BDE68, 2,2’-dihydroxy-BB80, 2’,6-dihydroxy-BDE68 およびそれらのメチル化体(合計8化合物)の抽出液および化学合成品について、(1) 抗酸化活性:①DPPHラジカル消去活性, ②ORAC法から抗酸化能を測定し、他のフラボノイド系の抗酸化能と比較評価する。(2) 抗菌活性:標準物質および海藻OH-PBDE抽出液に接種したグラム陽性菌およびグラム陰性菌の抗菌スペクトルを作成し、発育阻止濃度(MIC μg/mL)を求める。 (3)グルコシダーゼ阻害活性:OH-PBDE 関連物質について、パン酵母およびラット小腸α-グルコシダーゼとの反応阻害率を評価する。 3. ヒトOH-PBDE 摂取量、ヒト血中および母乳濃度をデータベース化するとともに、海藻由来OH-PBDE と類似する人工由来化学物質(トリクロサンおよびペンタクロロフェノール)および臭素系難燃剤(PBDE, HBCD)についてヒト血液、母乳の残留経年変化(2000-2015年のサンプル)を調べ、天然OH-PBDE 濃度と比較し、それらの長期残留トレンドを予測する。
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