研究課題
1 乳幼児の離乳食に含まれる天然由来ハロゲン化合物(NHC)の曝露評価を行うことを目的に、乳幼児の陰膳方式での1日食(n=46)および市販離乳食(n=27)を分析対象とした。GC/MS(ECNI)による化学計測を行い、1日の総摂取量を計算した。陰膳食 (n=40)すべてから2'-MeO-BDE68および6-MeO-BDE47を検出した。これらの成分は、市販の食用海藻を含む離乳食(n=3)で検出されたため、海藻がNHCの起源であると推定された。離乳食を通じた乳幼児のNHC摂取量は難燃剤PBDEと同レベルで、その許容量を大きく下回っていた。しかし、OH-PBDEの乳児への毒性影響はまだ不明確なため継続調査が必要である。2 食事を通じてヒト体内に暴露されるNHCの由来を調べるため。台湾の澎湖島から6種の褐藻(Sargassum sp)を採取し、NHC組成・濃度を日本の市販海藻(乾燥ひじき)および東南アジア海藻のそれと比較した。また、臭素イオンの総量を求め、NHC量との相関性を調べた。GC/MS分析の結果、台湾海藻には、2’-MeO-BDE68が、日本の市販海藻では6-OH-BDE47が検出され、組成が大きく異なり地域差がみられた。東南アジアの海藻中の総臭素量と各PBDE量との間には相関性はみられなかった。OH-PBDEの生産量が臭素量に依存しないことから、OH-PBDEの生産は特定の海藻種に限定され、環境要因(季節など)に影響されることが示唆された。今回の研究では、食事中のOH-PBDEは海藻に由来し、MeO-PBDEは魚介類に由来するという従来のデータを支持している。
3: やや遅れている
1 海藻の東南アジアでのサンプリングが遅れていること、およびヒト試料のデータ解析に時間を要しているため。
1 日本近海の天然由来ハロゲン化合物(NHC)の海洋生物(エビ類)における分布を調べる。同時に、環境汚染物質(PFCA, PFOSなど)との濃度比較を行う。2 海藻抽出物の抗酸化能およびNHC含有量との関連性を調べる。また、食事によるNHCのヒト曝露評価を行う。
生体試料分析結果の検証と成果発表を次年度に行うため。
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