研究課題/領域番号 |
17K00575
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
川嶋 貴治 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (90360362)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 農薬 / 胚 / ウズラ / 鳥類 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、鳥類(ウズラ)受精卵を用いて、胚発育に及ぼすネオニコチノイド系農薬の有害性を評価し、その作用機序を明らかにすることである。受精から孵化までの様々な発生段階において、ネオニコチノイド系農薬を定量的に曝露し、致死、発育不全および形態形成異常等のエンドポイントから、催奇形性の有無や低濃度でも奇形を誘導する「絶対過敏期」の特定を目指す。また、ニコチンとの有害性の比較を行い、脊椎動物では影響が低いとされているネオニコチノイド系農薬の生殖発生毒性の強度について明らかにする。鳥類は、哺乳類と同じ有羊膜類に属することから、発生・分化に関与する根本原理を比較しつつ、生態系の高次捕食動物全般に対する化学物質のハザードについて演繹することを目指している。鳥類胚培養技術を用いることで、放卵直後からの発育卵を、任意の発生段階で、定量的に被験物質に曝露することができる。今年度は、この胚培養技術のさらなる改良を試み、多検体培養法を安全性試験に適用するために、その安定性と適格性を調べた。転卵間隔、転卵角度、卵重、濃厚卵白の有無等の様々な培養条件を検討し、胚の生存限界や形態異常の発生率等について、それらの再現性を検証した。その結果、培養72時間までの胚形成期(絶対過敏期)においては、化学物質による有害性を評価できることを示した。この技術は、親鳥を犠牲にすることがないことから、今後、化学物質等による発生毒性(催奇形性)試験の動物実験代替法として利用できる可能性を示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験再現性の検証にかなりの時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
動物実験施設の感染症対策を取りながら、実験の継続を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動物実験施設の改修工事と感染症対策のため、研究の進捗が遅れた。当該研究は、次年度で完結させる。
|