研究課題/領域番号 |
17K00581
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
高原 輝彦 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (10536048)
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研究分担者 |
土居 秀幸 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (80608505)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境DNA / 環境mRNA / 環境DNAメタバーコーディング / 宍道湖 / DNA断片長 |
研究実績の概要 |
本研究では、島根県の宍道湖を主要な調査フィールドとして、環境mRNA技術とストレス物質分析を用いて、水域における生物大量死のリスク評価、及び、予測モニタリング手法を開発することを目的として取り組んでいる。そのために、宍道湖においてこれまでに大量死が確認されている水生動物(コノシロやヤマトシジミなど)を対象にして研究を進めている。 昨年度に引き続き、島根県の宍道湖-中海をフィールドにした月1回の野外調査を継続実施しており、計14カ所で表層水1Lを採取して、サンプルの処理と蓄積を進めた。また、コノシロに特異的なプライマー作成に取り組むとともに、底生二枚貝のヤマトシジミを対象にして、生存個体と死亡個体を識別するため、短いDNA断片を検出できるショートプライマー(プライマーS:126bp, Takahara et al. 2019)に比べて長いDNA断片を検出可能なロングプライマー(プライマーL:571bp)を開発した。 次に、室内飼育実験を行い、上記のプライマーSとLを用いたヤマトシジミのeDNA測定を実施したところ、生存個体の飼育水では長いDNA断片が検出されるのに対して、死亡個体の飼育水からは長いDNA断片がほとんど検出されないことがわかった。次に、宍道湖の野外サンプルを用いて、ヤマトシジミの生物量と、プライマーSとLで測定したDNA濃度との関係を調べた結果、プライマーLで測定したDNA濃度の方が生物量との相関が高くなることがわかった。しかし、プライマーLの場合、検出されるDNA濃度が低下することも明らかになった。今後は、プライマーSとLの中間程度の長さのDNA断片を標的としたプライマー(プライマーM)を開発して、有用性を比較・検討することが望ましいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、野外サンプルの蓄積を継続して取り組んでおり、また、ヤマトシジミをモデルケースにしたロングプライマーの開発も行い、室内実験系において利用可能性を追求した。さらに野外においても、ロングプライマーの有用性をある程度実証することができたことから、今後、生存個体と死亡個体の識別を迅速に行える可能性を明らかにできたため。
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今後の研究の推進方策 |
H31年度は、前年度からの野外調査と飼育実験を継続するとともに、蓄積されたサンプル分析も随時進める。得られた成果については国際学術論文や学会などで発表するとともに、一般市民向けのサイエンス・カフェや公開講座などでも紹介していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
蓄積中のサンプルの測定に計画していたよりも時間がかかってしまい、次年度に持ち越すことになってしまったため、そのために用意していた試薬用の経費を次年度に使用することになった。新年度にはそれらの経費を試薬の購入に充てて随時サンプルの測定を進める予定である。
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