研究課題/領域番号 |
17K00592
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50312921)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マイクロバブリング / 揮発性有機化合物(VOC)ガス / ナノ粒子 / 溶解度 / 捕集効率 / 油状物質 / エマルション / 粘性 |
研究実績の概要 |
実施した研究概要 本年度は、ラボスケールの小型反応器を用い、モデルガス状物質としてトルエンガス、モデル粒子状物質として炭素系ナノ粒子を任意の濃度で発生させ、水中にマイクロバブリングすることで水中捕捉処理の可能性について検討を行った。さらに、捕集水表面へ性質の異なる油状物質である菜種油または鉱油系潤滑油を添加し、油状物質の物性とエマルション生成が捕捉効率に与える効果を検証した。
得られた成果 疎水性物質であるトルエンガスと炭素系ナノ粒子に対する水中捕捉に対して、マイクロバブルを使用することにより、両物質とも効果的に水中捕捉が可能であった。特にナノ粒子に対しては飽和傾向を示さず、長期の捕集が可能であった。一方、トルンガスは水への溶解度を超えると徐々に除去率が低下する傾向が見られた。しかし、捕集水表面に油状物質を添加することで、溶解度を超えて飛躍的にその捕集効率を高めることに成功した。このとき、添加する油種により捕集効率や液相への溶解傾向が異なることが確認され、エマルションを形成する極性部位を持つ菜種油の場合にはエマルション層周辺にトルエンが集中的に捕捉されたのに対し、低極性トルエンと同様に低極性特性を持つ鉱油系潤滑油の添加の場合には、油全体に高効率に捕捉される傾向が示された。エマルション層を形成するような極性部位を持つ油の場合にはトルエンが油に浸透しにくい高粘性の油を使用するのが望ましく、また、エマルションを形成しない極性部位を持たない油の場合にはトルエンが油中に浸透しやすいように低粘性の油を使用するのが望ましいことが明らかとなった。親水性物質は水に対する溶解性を持っているため容易に水に捕捉できることから、本手法を用いることで、将来的に親水性、疎水性の物性に関係なくガス状/粒子状汚染物質の同時除去が可能な、気相汚染物質処理技術が構築できるものと期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画では、マイクロバブリングによるモデルガス状物質、モデル粒子状物質の水中捕捉の可能性調査、ならびに、捕集水表面への油状物質添加が捕集効率に与える効果を検証することとなっており、概ねその通り遂行できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は当初の計画通り、油状物質添加での最適条件において、モデル物質の長期捕捉実験を行うとともに、バイオマス燃焼排ガスや金属ヒュームなどの実排ガスに対する捕捉処理効果の確認を行う。さらに、バブル径に与える気液流量比の影響なども調査し、最終年に作製する実証装置の設計を行う。
|