研究課題
本研究ではガスの溶解性および気泡同士の分散性を高めるMBの特性に着目し、新たな空気浄化手法として、MBを気泡塔としてスクラバー的に使用する手法を検討した。また、捕集水上部の界面に油状物質を添加することで捕捉効率を向上させるべく、捕集温度や油状物質種の影響、エマルション形成の有無などを調査した。旋回流式MB発生器を組み込んだ小型反応器を用い、疎水性物質であるトルエンガスと炭素系ナノ粒子に対して水中捕捉を行ったところ、ナノ粒子を完全捕捉できるだけでなく、トルエンガスも捕集水表面に油状物質を添加することで、飛躍的にその捕捉効率を高めることに成功した。モデル燃焼排ガスを用いた実験でも、ガス/粒子を同時に高効率に捕捉処理が可能であった。これまでの小型反応器を用いた基礎評価結果を踏まえ、従来の旋回流式MB発生器はガス流量が少ないことから、これを大流量ガスが供給可能なYJノズル型MB発生器に変更し、大型実証装置の作製とその性能評価を実施した。YJノズルMB発生器を用いて大流量の疎水性トルエンガスを導入した場合、水中捕捉においてはトルエンガスの捕捉効率が低下する傾向が確認されたが、油状物質を添加した場合には、先行研究と同様、高い捕捉効率が維持できることが明らかとなった。これにより塩濃度を適切に制御すれば、YJノズルによるスケールアップが有効であることが示された。本手法は反応器に水と油を組み込んだ安価な構造となっており、導入コストやランニングコストを抑えることができる。また、気相汚染物質を捕捉した油状物質を取り換えることで連続使用も可能であり、捕捉した気相汚染物質を油状物質から分離することができれば、油状物質の再利用も可能であると考えられる。
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Chemosphere
巻: 256 ページ: 126996-126996
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Water, Air, & Soil Pollution
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10.1007/s11270-019-4292-9