本研究では,分別土などの災害に伴って発生する土砂を土木資材として有効利用するため,土砂に混入している木くず等有機炭素の簡便な削減方法を開発した。削減の方法としては生物分解させることを採用し,木材腐朽菌の働きによって木くず等有機炭素の削減を目指した。木材腐朽菌を分別土堆積現場へ散布,生長させることにより,簡便に分別土中木くず等の残存有機物を分解できるのではないかと考えた。本研究では,実際の分別土堆積現場での木材腐朽菌による残存有機物の分解可能性を確認するため,無滅菌状態下での木材腐朽菌による木くずの分解可能性,さらに,窒素の添加,鉛直深さといった条件を加えた時の分解可能性を確認した。 本実験では,鉛直方向への木材腐朽菌による木質分解可能性を確認するため,一段5㎝単位のカラムを作成して木質を充填し,これを10個つなぎ合わせ,50㎝カラムを作成した。このカラム上端に木材腐朽菌を添加した。カラム上部からこの栄養塩溶液もしくは純水を添加した。実験期間は100日間とした。 今回最も分解が行われた,木材腐朽菌を添加し,硝酸塩を添加しなかった条件の深さごとによる木質減少率と,その中でも最も減少率の大きかった値(以下,最大減少率)を100とした時の他の減少率の割合を得た。平均深さ27.1 ㎝では最大減少率の75%という比較的高い値となっている。一方この一つ下の段では49%と25%以上も低い値となっており,最大減少率の半分以下となっている。この結果から,深さがおよそ27 ㎝までは今回の実験方法が適用できるであろうと考えた。
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