研究課題/領域番号 |
17K00624
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
森長 久豊 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20396584)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多官能エポキシ化合物 / 植物由来 / 酸加水分解性 |
研究実績の概要 |
当該年度の研究目的は、酸加水分解性を有する植物由来多官能エポキシ化合物の合成である。酸加水分解性基として、(1)エステル基と(2)アセタール基の異なる種類を選択した2パターンで研究を進めた。 まず、エステル基を有する多価チオールとリモネンオキシド(シス・トランス混合異性体)のチオール・エン反応によって、植物由来多官能エポキシ化合物の合成を行った。その結果、高い反応率で対応する目的化合物を得ることに成功した。リモネンオキシドは、植物由来化合物リモネンの酸化物である。そのシス・トランス異性体のうち、特にトランス異性体はアミンとの反応性が高いことが知られている。そこで、シス・トランス混合異性体からトランス異性体を単離し、トランス異性体に限定したリモネンオキシド由来多官能エポキシ化合物の合成も行った。これは、次年度予定のアミン系架橋剤による多官能エポキシ化合物の架橋反応において、その反応率の向上や得られるネットワークポリマーの収率、耐熱性の向上を狙うためである。 一方、アセタール基を有する多官能エポキシ化合物の合成の成功にはまだ至っていない。アセタール基を有する多価チオールの合成において、目的物の分離精製がうまくいっていないためである。次年度は、すでに合成に成功しているエステル基を有する多官能エポキシ化合物を用いて、目的とする酸加水分解性ネットワークポリマーの合成を進めるとともに、アセタール基を有する多官能エポキシ化合物の合成も引き続き行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度の目的は、「酸加水分解性を有する多官能エポキシ化合物の合成」であった。酸加水分解性基としてエステル基とアセタール基の2方向で研究を進めた。その結果、アセタール基を対象とした多官能エポキシ化合物の合成はまだ達成できていないものの、エステル基を対象とした合成には成功している。したがって、今年度の目標は少なくとも達成できているため、「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られているエステル加水分解性多官能エポキシ化合物(1.シス・トランス混合異性体のリモネンオキシド由来、2.トランス異性体のリモネンオキシド由来)を用いて、架橋反応条件を検討することで対応するネットワークポリマーの合成を試みる。また、その収率や耐熱性を評価する。 一方で、29年度に引き続き、アセタール加水分解性多官能エポキシ化合物の合成も引き続き試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた化合物の合成が一部達成できてなく、次年度使用額が生じた。 次年度は、当初予定のTG-DTA(熱重量示差熱分析装置)の購入費用に加え、30年度研究目的の酸加水分解性ネットワークポリマーの合成に必要な試薬等の費用、29年度に達成できていない化合物の合成費用を予定している。
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