最終年度は、昨年度確立した架橋系(エステル基またはアセタール基含有)に光酸発生剤を加えて得たネットワークポリマーを、365nmのUV照射によって空気中で解架橋を試みた。 多官能エポキシ化合物由来ネットワークポリマー(エステル基含有)では、UV照射後にTHF溶媒に浸漬したところ、重量減少しておらず解架橋していないことがわかった。架橋剤をポリエチレンイミンまたはイミダゾールとした両系において同様だった。ポリエチレンイミンの系では、ネットワークポリマー中にエステル基がほとんど残存していなかったためと考えられる。イミダゾールの系ではエステル基を残存していたが、ビスフェノールAジグリシジルエーテルをコモノマーとしたことから、強固に架橋しており解架橋できなかったと考えられる。 多官能ヒドロキシ化合物由来ネットワークポリマー(エステル基含有)では、UV照射後74%がTHFに可溶したことから部分的に解架橋したといえる。一方、アセタール基含有多官能ヒドロキシ化合物を得ることができたので、光酸発生剤存在下で多価イソシアネートとの架橋反応を行った。得られたネットワークポリマーでは、UV照射後にすべてのポリマーがTHFに可溶したことから、十分解架橋が進んだといえる。 以上のことから、エステル基やアセタール基を持つ植物由来多官能ヒドロキシ化合物を架橋して得られるネットワークポリマーは、UV照射による酸発生によって空気中で解架橋が進行することがわかり、リサイクルの可能性を示唆した。
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