| 研究課題/領域番号 |
17K00632
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| 研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
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研究代表者 |
保科 宏行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (60446416)
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| 研究分担者 |
瀬古 典明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員(定常) (10354953)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 資源回収 / レアアース（希土類） / 放射線グラフト重合 / 量子ビーム / 金属吸着材 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、放射線グラフト重合法を活用して、希土類金属に対して優れた吸着選択性を有する抽出剤を吸着基として高分子基材に付与する事で、希土類金属を効率的に吸着可能な材料を開発する事を目的とする。
昨年度までの研究において、長鎖アルキル基を有するモノマーをグラフト重合によりポリエチレン製不織布にグラフト鎖として導入した後、グラフト鎖のアルキル基と金属抽出剤2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル(EHEP)が有するアルキル基を疎水性相互作用により結合させて作製した吸着材がスカンジウム(Sc)やジスプロシウム(Dy)に対して高い吸着量と選択性を示す事が確認できた。
本年度は、吸着材の耐久性を評価するため、アルキル基の長さが異なる4種類のモノマー(直鎖の長さC4：メタクリル酸ブチル、C6：メタクリル酸ヘキシル、C12：メタクリル酸ドデシル、C18：メタクリル酸オクタデシル)を不織布に導入した後、EHEPを吸着基として付与して吸着材を作製し、繰り返し吸着試験を行った。Dyが100 mg/Lの濃度で溶存する溶液 (pH2)に4種類の吸着材をそれぞれ浸漬させて吸着試験を行った結果、全ての吸着材が吸着材1ｇあたり25ｍg-Dy以上の高い吸着量を示した。1 mol/L塩酸を用いてDyを溶離させた後、Dy溶液を用いて再吸着試験を行った結果、メタクリル酸オクタデシル (C18)をグラフト鎖として導入した吸着材は25 mg-Dy/g-吸着材の高い吸着量を保持した。一方、他の吸着材については吸着量の低減が認められ、吸着材1gあたりのDyに対する吸着量はそれぞれ11 mg (C4)、15 mg (C6)、23 mg (C12)だった。以上の結果から、疎水性の高い長鎖アルキル基 (C18)をグラフト鎖として導入する事で、EHEPの脱離を抑制し、再利用においても高い吸着性能を保持できる事がわかった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、繰り返し吸着試験による耐久性評価を行い、疎水性の高い長鎖アルキル基をグラフト鎖として導入する事で、吸着基として付与したEHEPの脱離を抑制し、再吸着試験においても高い吸着性能を保持できる事を実証した。そのため、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では、カラムを用いた連続的な通水試験による耐久性評価を行うとともに、繰り返し使用回数と吸着性能の相関性について検討する。さらに、30種類以上の金属に対して吸着試験を実施し、EHEP吸着材の吸着特性を明らかにする予定である。また、長鎖アルキル基を有する様々な金属抽出剤について引き続き検討を行い、高性能な吸着材の創製を目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
既に所有していた試薬や器具類を有効活用することで、当初予定していた予算から主に物品費を減額できたため、次年度使用額が生じた。
金属抽出剤やグラフト重合用モノマーなどの試薬類の他、吸着材の性能評価に用いる器具などを購入する。また、研究成果を学会等で発表するための旅費などに使用する予定である。
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