研究課題/領域番号 |
17K00635
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
飯塚 和也 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20344898)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 放射性セシウム / スギ樹幹 / 心材と辺材 / 福島原発事故 / 経年変化 |
研究実績の概要 |
福島原発事故後、栃木県北部の塩谷町におけるスギ樹幹木部における半径方向の137Cs濃度の7年のわたる経時変化の推移を調査した。得られた主な結果は、以下のとおりである。 ①本調査地におけるスギ樹幹木部における137Csは、大きな傾向として、林齢(樹体サイズ)により3区分されたグル-プ間内の濃度の高低は存在したが、事故2年目と年月の経過後と比べ、辺材全体の濃度は低下したが、心材全体の濃度は顕著な増減は観察されなかった。このため、心材濃度/辺材濃度は、増加し、2以上の値になった。 ②心材における半径方向の137Csは、拡散のより領域内全体に進行し、年月の経過に伴い濃度が均一の平衡状態になり、その後、髄周辺部位の濃度が高くる傾向が示唆された。 ③心材の半径方向において、137Cs濃度が平衡状態に至る時間は、林齢に関係なく、樹幹の直径(心材面積)に依存しており、直径が大きい部位は、小さい部位と比べ、全領域に137Csが均一(平衡状態)に拡散するまでに時間を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度末に新型コロナの蔓延防止のため、学会等公表する機会を失ってしまい、延長の許可を得たが、調査はおおむね順調に進んだ。スギを心材と辺材に区分したとき、両者における放射性セシウムの挙動は明確に異なっていた。心材では、時間の経過とともに、領域全体に放射性セシウムは拡散し、樹体の小さい心材面積の少ない)個体ほど、その濃度が均一な平衡状態に達する時間が早かった。1本の立木においても、地上高別の部位により、濃度が平衡状態に達する時間が異なっていた。
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今後の研究の推進方策 |
今までのデ-タをさらに整理するとともに、最新のデ-タを増やして、公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの蔓延防止対策のため、学会等が中止になり、研究成果の公表等の機会が失われたため、研究期間を1年間延長した。
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