研究課題/領域番号 |
17K00641
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
松神 秀徳 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (10639040)
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研究分担者 |
鈴木 剛 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (70414373)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 含塩素縮合型リン系難燃剤V6 / 合成不純物 / マルチハートカット二次元LCシステム / 四重極飛行時間型質量分析計 / 生物濃縮性 / 生物学的利用能 / CALUXアッセイ / 生殖毒性 |
研究実績の概要 |
家屋の室内ダストや自動車の車内ダスト経由の環境曝露が懸念されている縮合型リン系難燃剤の「V6」及び「PX-200」を評価重要度の高い対象物質として選定した。 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)カラムを第一カラムとし、オンラインで逆相(RPLC)カラムを第二カラムとする、マルチハートカット二次元GPC/RPLCシステムを立ち上げ、移動相と固定相の最適条件を確立した。続いて、マルチハートカット二次元GPC/RPLCシステムに四重極飛行時間型質量分析計(QTOF-MS)を組み合わせ、縮合体及び重合体に含有する合成不純物の分子構造解析法(マルチハートカット二次元GPC/RPLC-QTOF-MS 法)を確立した。 V6及びPX-200の市販製剤を対象に、マルチハートカット二次元GPC/RPLC-QTOF-MS 法を適用し、合成不純物の分子構造を推定した。EPI Suite及びChemDrawソフトウェアを用いて合成不純物のオクタノール/水分配係数(LogP)及びトポロジカル極性表面積(tPSA)を算出し、これらを用いたin silicoスクリーニングにより生物濃縮性及び生物学的利用能の視点から曝露リスクが高い合成不純物を特定した。 核磁気共鳴分光法(NMR)を用いた分子構造の決定に向けて、マルチハートカット二次元GPC/RPLCシステムを用いて合成不純物の分取を検討している。 さらに、オランダのBioDetection Systems b.v.で開発されたCALUXアッセイを用いて生殖毒性を調査したところ、V6の市販製剤については化学物質の薬物代謝に影響を与えるエンドポイントで、PX-200の市販製剤についてはERαアゴニスト活性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
縮合型リン系難燃剤「V6」及び「PX-200」を対象に、マルチハートカット二次元GPC/RPLC-QTOF-MS により合成不純物の分子構造を推定し、in silicoスクリーニングにより生物濃縮性及び生物学的利用能の視点から曝露リスクが高い合成不純物を特定することができた。また、CALUX アッセイを実施し、生殖毒性に係るエンドポイントで活性を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
マルチハートカット二次元GPC/RPLCシステムを用いて合成不純物を分取・濃縮・精製する。 精製後の合成不純物についてNMRスペクトル測定を実施し、分子構造を決定する。 精製後の合成不純物について薬物代謝異常に関するCALUX アッセイを実施し、生殖毒性の視点から曝露リスクが高い合成不純物を特定する。 V6関連成分の腸管溶出性及び腸管吸収性の実態予測として、「生理学的抽出評価(PBET)」及び「Caco-2細胞膜透過性評価」を検討し、これらを用いたin vitroスクリーニングにより、生物学的利用能の視点から曝露リスクが高い合成不純物を特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、NMRスペクトル測定、生理学的抽出評価、及びCaco-2細胞膜透過性評価に係る費用が発生すること、並びにCALUX アッセイによる生殖毒性試験が増えることから、物品費の繰り越しを行った。上記を次年度の使用計画として執行する予定である。
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