本研究の目的は、地震災害廃棄物管理における ①共助の活動ポテンシャルを明らかにする ②共助ネットワークの構造を明らかにする ③ソーシャル・キャピタル(SC)の経年変化に伴う共助ネットワークの変容を推計することである。 2019年度は、③SCの経年変化に伴う共助ネットワークの変容を分析した。近年、大都市住民のSCは、これまで防災に必要不可欠とされてきた強い連携から弱い連携に変化している。本研究では、コミュニティ内及びコミュニティ間のSCネットワークを推計し、大都市における弱いSC連携の有効性を示した。 研究成果として、第一に、コミュニティ内SCネットワークは、都市中心エリアで弱く、郊外地域にいくにしたがい強くなる傾向を明らかにした。第二の成果として、大都市におけるコミュニティ間SCネットワークは、弱い連携で構成されていることを明らかにした。高いSCをもつグループにおいても、非公式なネットワーク、情報伝達やコミュニケーションは弱いSC連携であった。一方で、これらの弱い連携は、ネットワークの構造的空隙や多様性を活用して技術、知識や新しい情報を交換することにより、ネットワークのパフォーマンスを向上させていることが示された。第三の成果として、自然災害レジリエンスにおける弱いSC連携の活用方法を提示した。SCネットワークは、一方向型情報ツールからの一次情報を拡散する機能があり、これらを用いた情報伝達システムの可能性が示唆された。
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