研究課題/領域番号 |
17K00658
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古林 敬顕 東北大学, 工学研究科, 助教 (40551528)
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研究分担者 |
中田 俊彦 東北大学, 工学研究科, 教授 (20260416)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水素 / 脱炭素 / サプライチェーン |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の脱炭素社会に向けて、再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素のポテンシャル及びCO2削減効果を評価するとともに、水素エネルギーを利用した地域エネルギーシステムの設計を目的とする。具体的には、太陽光や風力の利用可能量からCO2フリー水素の賦存量分布を推計して、需要地に供給する水素供給システムの設計手法を構築する。得られた結果を基に、東北地方の対象地域をケーススタディとして、CO2フリー水素を電力、熱、輸送用燃料として利用した場合のCO2削減効果、エネルギー効率及びコストをそれぞれ定量評価する。さらに、水素供給システムを地域エネルギーシステムの最適設計に組み合わせることで、脱炭素化とレジリエンスを両立した社会システムの構築に資する。
当該年度は、全国のCO2フリー水素のポテンシャルマップを作成した。公開されている日照量及び風況のデータを基に、土地利用条件、系統連系可能量、水電解装置の規模と効率等を考慮して、地理情報システムと組み合わせることで、ポテンシャルマップとして図示した。 水素の製造、貯蔵、輸送を考慮した、CO2フリー水素供給システムの設計手法を構築した。研究実績があるバイオマス利活用システムの設計手法を応用した混合整数計画法を用いて、施設配置問題を考慮した数理モデルを開発した。空間情報分析とインベントリ分析を組み合わせ、CO2フリー水素のCO2排出量及び供給コストを示した。また、エネルギー経済モデルを用いて、運輸部門におけるCO2フリー水素の普及条件を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、以下の三段階で行う計画である。第一に、CO2フリー水素のポテンシャルマップを作成し、水素供給システムの設計手法を構築する。次に、構築した手法を対象地域に適用して、水素供給コスト及びCO2排出量を示す。得られた結果を基に、インベントリ分析によってCO2フリー水素の利用に伴うCO2削減効果やレジリエンスの向上等の価値を示す。さらに、水素供給システムと従来のエネルギーシステムの設計手法を組み合わせ、低炭素化とレジリエンスを両立する持続可能な地域エネルギーシステムの最適設計手法を構築する。現在までに第一の段階を概ね達成したので、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
CO2フリー水素を電力、熱、輸送用燃料の燃料として利用することを想定して、既存のシステムに対するCO2削減量及びコストを示す。また、水素の原料となる再生可能エネルギーを、直接電力として利用する場合と比較して、製造から消費までのシステム全体を定量評価する。また、エネルギーシステムにおけるレジリエンスを定量評価する手法を構築する。災害時に系統電力、都市ガス及びガソリンの供給が途絶したことを想定して、地域に賦存する再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素の製造、貯蔵が地域のレジリエンスに与える影響を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね予算額を使用した結果として少額が残り、無理に使用せずに次年度に繰り越すこととしたため。
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