研究課題/領域番号 |
17K00659
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渋谷 嗣 秋田大学, 電動化システム共同研究センター, 特別教授 (00154261)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 損傷モニタリング / 振動応答解析 / 磁性エラストマー / 環境エネルギー回収 |
研究実績の概要 |
地球温暖化対策のために二酸化炭素排出削減とともに再生可能エネルギーの開発が注目されている。そこでは,多様なエネルギー源を対象とした研究が行われている。その中でも風力発電は近年急激に拡大を続けており,発電コストの低下も求められるなかで,さらに風力の好適地を求めて洋上風力も拡大している。効率的に発電量を確保するために,風力発電のタービン・ブレードは大型化している。洋上では保守点検整備も難しくなり,その技術開発は,発電コストの面でも重要な課題である。長期間に遠隔で保守点検できるシステムが期待されている。 機械構造物は風などの外力によらず,構造固有の振動モードを有している。この性質を利用すれば欠陥の発生による固有の振動モードの変化として現れるので,常時,振動をモニタリングすることによって欠陥の発生やその拡大をモニタリングできる可能性がある。令和3年度は風車ブレードの振動応答に対して,ブレードのコアと表面の繊維強化プラスチックをモデル化した3次元FEM解析を行い,振動応答に及ぼす損傷の影響を調べた。繊維強化プラスチックで覆われた表皮が紫外線照射による劣化やバードストライクによる損傷の発生及びそれらを起点とした疲労損傷の進展などが考えられるが,それらは繊維強化プラスチック内部に微子き裂や繊維破断の発生,蓄積として損傷が進展し最終破壊に至る。事前に,損傷の進展を把握するためにシミュレーションにより損傷進展と風車ブレードの動的応答,固有振動モードについて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで発電用風車ブレードの振動応答に及ぼす損傷の影響や磁性エラストマーの特性評価について,理論とシミュレーションに基づき検討を行ってきた。令和3年度もCOVID-19の影響で参加を予定していた国内・国際学会が延期やオンライン開催となったことや,出張が困難であったため,適切な学会における成果発表ができなかった。また,損傷評価やエネルギー回収について検討が不十分な部分もあったので,本申請課題の研究成果をより確実なものにするため延長申請を行い,令和4年度に継続することとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度として,これまでの成果をまとめるとともに,その成果に対して明らかになった不足部分や,より実構造に近い3次元FEMモデルを用いて,改良した損傷モニタリング方法と振動エネルギー回収システムに関して検討を加える。また,これまで,COVID-19の影響で難しかった移動や対面での学会の開催が緩和されることを期待して,対面開催可能な学会で成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:令和3年度はCOVID-19の影響で出張や実験的検討が十分にできなかったので,数値解析を重点に行ったため,経費を必要とせず,次年度使用額が生じる結果となった。 使用計画:令和4年度はCOVID-19による移動制限が緩和されることを期待して,対面開催可能な学会で成果発表を行う。また,本研究課題の最終年度として,研究成果をまとめるうえで明らかになった,検討が不十分であった部分についての再検討のために必要な消耗品として支出する。
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