再生可能エネルギーとして風力発電は世界的に注目され,風力エネルギーから効率的に発電量を確保するために,風力発電のタービン・ブレードはより大型化する傾向にある。特に,洋上風力発電はブレードの大型化とともに期待がさらに高まっている。洋上における保守点検は地上の風力発電と比較してもアクセスが難しいなどの問題があり,遠隔でのヘルスモニタリングが有効と考えられる。本研究では,構造の異常を早期に検出し,構造解析技術により損傷進展を予測し,補修等の整備計画に反映することを目的としている。令和4年度は振動エネルギー回収システムの性能評価のためのCAE技術に基づく電磁場解析と,損傷検出のための風車ブレードの振動応答評価に対して,風力発電システムの構造を模擬したモデルに一方向に風速がランダムに変化する外力を模擬した動的応答解析を行った。機械構造物は風などの外力の影響によらず,構造固有の振動モードを有しているので,この性質を利用し,欠陥の発生による構造の剛性異常による固有の振動モードの変化として捉えて,常時,振動をモニタリングすることによって欠陥の発生やその拡大をモニタリングできる可能性がある。また,エネルギー回収システム特性は風車構造の動特性と調和させることが必要である。自然の風を模擬した強制外力を受ける風車ブレードの回転角と振動応答について,構造の周波数応答をから応答の中の固有振動特性および減衰特性を調べ,損傷検出に関するより詳細な検討を行った。
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