研究課題/領域番号 |
17K00662
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
河野 孝昭 金沢大学, サステナブルエネルギー研究センター, 准教授 (90630921)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 垂直軸風車 / 空力騒音 / アーム / 断面形状 / 風洞実験 / 数値流体力学解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、直線翼垂直軸風車のブレードとアームについて、騒音源としての特性と風車出力性能に与える影響を解明し、出力性能を著しく損なうことなく空力騒音を低減させる対策の提案を行うことを目的としている。2018年度は、アームの断面形状、ブレード後縁形状、ブレードに取付けたトリップワイヤが、空力騒音や風車出力の特性に与える影響について調べた。 アーム断面形状については、翼型の前縁形状を長方形の短編に接合した形状(以降、楕円型と称する)を考案した。この楕円型アームを用いた場合の風車の出力・騒音特性を風洞実験によって測定し、翼形アームや長方形アームを用いた場合と比較した。その結果、楕円型アームを用いると、出力は翼型アームを用いた場合よりも低下するものの長方形アームを用いた場合よりも顕著に高く、騒音レベルは、翼型アームを用いた場合よりに比べて顕著に低下することを確認した。楕円型アームを用いた場合と翼型アームを用いた場合の数値流体力学解析結果より、楕円型アームを用いると、翼型アームの場合に比べて、ブレードとアームの接合部付近の流れのはく離が抑制されて、高周波数域の騒音レベルが低減したものと考えられる。 ブレード後縁形状については、1種類の鋸歯状のセレーションをブレード後縁に付けた場合と付けない場合について風洞実験を実施し、風車の出力・騒音特性を比較した。その結果、セレーションをブレード後縁につけると騒音レベルがわずかに減少するものの、出力が顕著に低下する傾向を確認した。 トリップワイヤは、ブレード表面上の設置位置やワイヤ径を様々に変化させて風洞実験を行い風車の出力・騒音特性を比較した。さらに、乱流格子を風洞の風上側に設置して、接近流の乱れ強度の影響も調べた。その結果、比較的小さいワイヤ径の場合、乱流強度によらず出力が増加し、騒音レベルが低下する設置位置があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年間の研究の第2年度目にあたる2018年度は、ブレード後縁にセレーションを取り付けてブレードから発生する渦を制御することによる騒音低減効果を評価することを計画していた。セレーションの形状を系統的に変化させて、評価する予定であったが、1種類のセレーション形状についてしか評価が完了しておらず、その他のセレーション形状については、2019年度に評価を行う。 当初の計画から遅れている原因は、2019年度の計画を先取して、アーム断面形状について新たな形状を考案し、その評価を行ったこと、ブレードから発生する渦の制御手法として、トリップワイヤによるアプローチを追加したこと、が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、当初の計画に基づき、流入風に含まれる乱れが、直線翼垂直軸風車の騒音特性、出力特性に与える影響について、種々のアーム断面形状やブレード後縁形状の場合で評価する。その結果に基づき、出力性能を著しく損なうことなく空力騒音を低減させる対策の提案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、日本機械学会北陸信越支部第56期総会・講演会の旅費と日当で使い切る予定でいたが、セレーションの作成費が少し増加したため、残額が旅費として使用するには足りなくなってしまった。そのため、学会への旅費には、基盤研究費を使用した。次年度使用額は、データ保存用のハードディスクの購入費の一部に充てる計画である。
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