研究課題/領域番号 |
17K00667
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
八木 健太郎 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (30352222)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 限界集落 / 離島 / 集落支援 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、企業や公益財団等による集落支援活動が始まりつつある瀬戸内海の二つの離島を対象に、住まいや生活環境を継承していくための新しい主体形成の実践にともなう、現実的な課題や可能性を明らかにすることを目的としている。 本研究の2年目にあたる2018年度(平成30年度)は、研究計画の第二段階として、集落支援活動に民間企業や財団法人等が参加することに対する受入地域の住民側の意識について、住民や関係者へのヒアリングにより明らかにし、双方の意識の違いも整理することを計画していたところである。 関係者へのヒアリング調査を定期的に実施するとしていた部分については、企業・財団等へのヒアリングそのものは定期的に実施してきた。その一方で、現地調査や住民へのヒアリングの実施については、平成30年7月豪雨の影響により、調査対象地域もライフラインも大きな被害・影響を受けたことから、計画的な実施が困難となり、被災後の状況把握のためたびたび現地を訪問して調査を実施したものの、研究計画における本来の意図を反映した調査を行うことは不可能であった。 その一方で、当初の研究計画立案時には想定していなかった新たな動きも生まれており、そうした活動の実態については、継続的に調査を行い、把握することができた。 全体として、研究の進捗は実態としてやや遅れているが、これまでの研究活動の成果については、継続的に学会等において報告するなどして還元されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題が調査対象としている地域は、平成30年7月豪雨災害において、大きな被害を受けた。 ライフラインにも大きな被害・影響があり、現地でのヒアリング調査の実施に大きな障害となった。もっとも重要視していた調査期間である夏季期間を直撃し、現実的に、調査対象地域において住民に対する体系だったヒアリング調査の実施は不可能であった。 研究の遅れの主たる要因は、上記豪雨災害によるものであり、不可避のものである。 現地の住民に対する調査については、災害時の状況についてのフォローを行いつつ、生活基盤そのものは概ね回復してきたことから、基本的には当初の予定から一年間遅らせて、2019年の夏に現地における調査を実施できるよう準備を進めているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の遅れの要因は、自然災害の影響によるものであり、不可避のものである。災害という異常事態下での諸活動は、本研究課題の目的を達成する上で、付加的な知見を得る効果はあるものの、本来目指していたものではなく、いずれにしても平常の生活が回復した後の調査実施は必要である。 また、本研究課題は、実際の生活環境を継承する主体形成の実践を扱っており、災害の影響による研究計画の遅れを取り戻すことは困難である。その一方で、生活環境が安定すれば、当初の計画に沿って研究を遂行する上での障害は特にない。 以上のことから、基本的には、当初三年間であった研究期間の延長も見据えて、現地の住民を対象とした調査については、当初の予定から一年間遅らせて、2019年の夏に実施できるよう準備・調整を行っているところである。 物理的に調査を実施できなかったことにより、調査に必要な研究費の執行もされていないことから、遅れをともなう研究計画の履行には特に問題はない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
すでに研究計画の進捗状況で述べたとおり、平成30年7月豪雨により、調査対象地域も大きな被害・影響を受けたことにより、研究計画の主要な部分を占める、現地での調査活動を実施することができなかった。 次年度使用額が生じた主たる理由は、この調査実施のための必要経費であり、研究計画の遅れにともない、計画されていた調査実施のために予定よりおおむね一年遅れで使用されることになる。
|