本研究は、平成30年7月豪雨災害の影響により、もともと研究そのものが概ね当初の予定より遅れている状況にあったが、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大もあり、昨年度終了予定であった研究期間を一年間延長していたものである。 新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大する状況下において、研究対象が医療資源が乏しく、また著しく高齢化の進行した離島のコミュニティであるという特性から、実際に訪問して調査研究する機会は限られたものにならざるを得なかった。限られた機会の中ではあるが、リモートでのヒアリング調査や、感染対策に配慮した上での訪問時のインタビュー等を通して、集落活動を継承するさまざまな主体の活動実態の把握につとめた。 その成果として、外部との交流に可能性を見出した限界集落ではあるが、コロナ禍によって外部との交流が著しく制約される状況下においても、具体的にどのように集落活動を維持継続することが可能になるか、解決策を模索する集落コミュニティの現状について整理し、把握することができ、また、これまでは見えていなかった新たな課題も見えた。 これは当初想定されていた研究成果とは異なる部分もあるが、逆に、新型コロナウイルスによるパンデミックの終息後においては、集落の持続可能性をさらに高めることに繋がるとも考えられ、研究活動を新しいステージに進めるうえで、大きな示唆をもたらすものでもある。 今後はこうしたデータをもとに、研究成果をとりまとめたうえで、新たな研究プロジェクトへと継承していく予定である。
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