本研究は前処理にエタノール発酵を行う膜分離型中温メタン発酵システムの運転能力の把握とその機構解明を目的とした。各年度とも模擬厨芥をエタノール発酵させた基質と無処理基質の対照系の両系で半連続比較実験を行った。対照系はCODcr容積負荷13 g/L/dでVFA過剰蓄積により破綻したが、エタノール発酵系ではその2.5倍の33 g/L/dでも同等のメタン収率を得ながら安定した運転が可能であり、世界で最も高い負荷を達成できた。高負荷運転可能な理由をVFA、菌叢、ガス生成速度などから考察した。前処理であるエタノール化は酵素添加方法、各種酵母の実験的検討を行い、それらに関する知見を得ることができた。
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