研究課題
主に(1)国内における古紙の時系列分析と、(2)ベルギー・フランダース地方における重量制有料化および廃棄物焼却税の廃棄物減量効果に関する分析を行った。(1)では、古紙の取引価格や国内利用量等の決定要因やトレンドを明らかにするために、2018年までの10年間の新聞紙・雑誌・段ボールの3種類の紙・古紙の月次データを用いた計量経済分析を行った。分析の結果、主に以下の変数間の相互作用を確認した。i)古紙消費量に影響する変数:新聞紙と段ボールでは古紙価格、古紙と新品の在庫量、段ボールでは紙生産、古紙輸出量と輸出価格。ii)古紙価格に影響する変数:全品目で輸出価格に加え、段ボールでは古紙在庫量。iii)古紙在庫量に影響する変数:全品目で古紙輸出量、段ボールでは古紙輸出量。iv)古紙輸出量に影響する変数:新聞紙では古紙の在庫と輸出価格、雑誌と段ボールでは古紙の消費量・価格と新品価格、段ボールでは古紙在庫量。v)古紙輸出価格に影響する変数:全品目で古紙在庫、新聞紙では新品価格と古紙輸出量、雑誌では古紙の消費量・価格と新品在庫。(2)では、ベルギー・フランダース地方の自治体を対象に、2015年までの11年間のパネルデータを用いて、重量ベースを含むごみ処理有料化の減量効果を推定した。過去のトレンドを考慮した動学的モデルによる結果、重量ベースの有料化は容積ベースのそれと比べ、導入初年度に24~25%の減量効果が確認されるものの、継続的な減量効果は3%にとどまることが示された。静学的モデルを用いて推定した場合、これらの減量効果は過大評価されることもわかった。また、廃棄物焼却税がフランダース地方における産業系プラスチック廃棄物の排出量に与える影響についても分析した。分析の結果、焼却税は同廃棄物の排出抑制に寄与し、特に焼却の代替処理にかかる限界費用を考慮した税率設定が有効であることを示唆した。
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Resources, Conservation and Recycling
巻: 157 ページ: -
10.1016/j.resconrec.2020.104717
https://jinsha.iwate-u.ac.jp/~kankyou/sasao/