研究課題/領域番号 |
17K00679
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
奥島 真一郎 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20431653)
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研究分担者 |
山下 英俊 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50323449)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 環境政策 / エネルギー政策 / 貧困 / 脆弱性 / エネルギー貧困 / エネルギー正義 / 気候正義 / 指標 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、家計や個人における、エネルギー・環境に関する貧困を測定するための新しい多次元指標を開発し、それを用いて有効な対策についての評価を行うことである。 平成30年度は、これまでのアフォーダビリティ指標とは異なるタイプの、新しい多次元エネルギー貧困指標を開発した。具体的には、エネルギーサービス利用の「過少」というより根源的な観点から、独自の(相対的)多次元エネルギー貧困指標(Multidimensional Energy Poverty Index、MEPI)を開発した。 次に本研究では、この多次元エネルギー貧困指標(MEPI)を用いて、日本を対象とした実証分析を行った。日本のエネルギー貧困率は、2000年代を通じて上昇しており、特に東日本大震災以降、より深刻な状況にある。本研究では、地域別のエネルギー貧困を同指標を用いて考察し、結果、①従来型指標による結果とは異なり、西日本のエネルギー貧困率が高いこと、②日本においては特に灯油がエネルギー貧困緩和に重要な役割を占めていること、③日本においてEnergy Poverty Premium (EPP)がみられること、等の知見を得た。これらの分析結果は、今後のFIT(固定価格買取制度)や、カーボンプライシングの強化を考える上で、重要な知見となりうる。同時に、エネルギー正義(Energy Justice)や気候正義(Climate Justice)を考える上でも、重要な知見であると考えられる。 平成30年度は、以上のような成果を国際学術雑誌等で発表した。加えて、研究成果の一層の普及のため、国際学会(World Social Science Forum 2018)において本テーマに関するセッションを共同研究者らと組織し、そこで発表、ディスカッションを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、新しいタイプの多次元エネルギー貧困指標を開発し、国際学会や国際学術雑誌等において成果を発表した。地域別の分析も進んでおり、概ね予定通りであると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度までに得られた成果をもとにして、今後もより優れた指標の開発、また実証分析を進めていく予定である。 以上より得られた成果を、国内外の学会、学術雑誌等で適宜発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)主に旅費が当初見込みより少なくて済んだため。 (使用計画)平成31年度の研究費については、経済学、環境学関連の研究資料、研究打合わせや国際学会発表のための旅費、資料整理のための謝金、外国語論文の校閲などに使用する予定である。繰越金については、主に旅費、人件費・謝金に充てる。
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