最終年度の成果:米国Harvard Graduate School of Design "Kenzo Tange Pavilion" Exhibitionにおいて "Dialogue for Our Future of Planet Earth: Isamu Noguchi's Peace Monument and A-bombed Trees"が開催され,原爆ドームと天体の運行をモチーフにした写真作品"When We Wish upon a Starry Night"を招待展示した。米国で被爆樹木の存在をアピールできた。 広島市において,県と市の連絡体制の不備により被爆樹木の1本が誤伐採された件について,東京新聞からの取材に応じ記事が掲載された。被爆樹木の保全において,文化財としての位置付けを確立する重要性が再認識された。 研究期間全体を通じた成果:研究の目的は,核拡散に対する警鐘として,被爆樹木を被爆遺産として保全活用するための方策を提案することであり,そのプロセスとして1)被爆樹木の実態を把握する2)国際的に被爆樹木の存在意義を知らしめる3)被爆樹木の戦争遺産としての特性を考察する4)被爆樹木を国の文化財ひいては世界遺産として認定する可能性を検討することである。研究成果として1)広島と長崎において複数の被爆樹木の3Dレーザースキャナーによる精密測定を行い3Dモデル化に成功した。2)英国の科学雑誌に被爆樹木に関する論文を掲載し,ノルウェー・イスラエルの中学校とオンラインで被爆樹木に関するレクチャーに参加し,米国のハーバード大学で被爆樹木に関連する展示会に協力した。被爆樹木の写真集をAmazonで出版・国内外に発信した。3)原爆関連資料の調査により被爆樹木の戦争遺産としての特性を考察した。4)被爆樹木の国指定による文化財化の可能性を検討しているが,行政との調整が未達である。
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