研究課題
本研究は,研究代表者がこれまで開拓してきた環境政策の歴史研究(環境政策史: Environmental Policy History)の手法に基づき,日本の資源に関連する政策の展開を考察しようとするものである。これまでの歴史研究ではほとんど扱われてこなかった,1970年代以降も含めた日本の一連の資源政策を射程に入れている点が特徴である。関係者へのインタビューおよび海外文書館での資料収集を前年度までに終えていたため,本年度は,日本の資源政策に関する重要人物の文書のコレクションを購入するとともに,全国紙等の新聞,各種業界団体の雑誌・機関紙,政府広報誌などを渉猟し,それらの分析を進めた。そして,2019年度までに実施した資料収集と関係者へのインタビューを踏まえて,広い意味での資源政策の展開過程を考察し,研究のまとめをおこなった。その結果,以下のような知見が得られた。1960年代末には世界最大の資源輸入国となった日本は,海外の天然資源のみならず,海外資源の大量輸入を可能にする「港湾」という「資源」をも活用して重化学工業を発展させたが,その結果,深刻な環境破壊が発生するとともに,自然海岸や国内水産資源も破壊されるに至った。その後,「資源」は1980年代以降の新しい公共政策にも影響を及ぼすようになった。例えば,1980年代初頭に着手された日本の地球環境政策は,海外での天然資源確保を念頭にしたものであったことが明らかになった。また,資源政策の質的変化を理解するうえで,ドイツの廃棄物減量化政策の質的変化についての考察から,重要な手がかりが得られたことも付記しておきたい。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (2件)
寺尾忠能編『「初期」資源環境政策の形成過程―「後発の公共政策」としての始動』アジア経済研究所
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Tadayoshi Terao and Tsuruyo Funatsu (eds.) Origins and Evolution of Environmental Policies: State, Time and Regional Experiences, Edward Elgar.
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経済科学
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セミナー年報(関西大学経済・政治研究所)
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https://researchmap.jp/susumu.kitagawa/Environmental-Policy-History