研究課題/領域番号 |
17K00688
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
稲澤 泉 立命館大学, 経済学部, 教授 (50752143)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 政策形成過程 / ACF / エネルギー政策 |
研究実績の概要 |
本年度は,国内の2013年から2015年における政策形成過程につき,国内主要アクターの信条,資源,戦略等を政府審議会宛提出資料,各アクターの公表資料及び審議会や報道等における議事録・発言内容から分析を深化させ,2019年3月末発刊の「立命館経済学」において,日本のエネルギー政策形成過程における要因につき論文を公刊した.これは,昨年度,雑誌「環境と公害」に投稿し掲載(査読付)されたコスト検証に係る政策過程部分と合わせ,ACFの枠組みを活用した政策過程における政策形成要因解明の試みの成果となるものである.こうした分析から明らかになった要因が日本において特殊なものであるかどうかを比較分析するべく,本年度末には,欧州でのエネルギー政策形成過程に係る調査を実施,欧州委員会,これにフィードバックを行う経済社会委員会・地域委員会及び欧州議会の各担当セクションより,政策決定過程において利用される科学的知見,各アクターの参加の方式と程度,参加を可能とする制度的枠組について情報収集を行った.これを踏まえて,日・EU間での政策過程での政策決定要因に係る分析を進める予定である.また,国内の政策形成過程に係る理論面での研究の蓄積として,ACFの国内事例への適用に係る研究会を継続的に開催し,ACF枠組みの国内事例への適用の現状と適用上の課題等につき分析.来年度における国際ジャーナルへの投稿を予定している(来年度半ばを予定).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度より,新たな所属機関において学務役職を担当することとなり,本年度に予定されていた欧州と日本の政策形成過程に係る比較研究に遅延が発生している.なお,日欧比較研究については,年度末に欧州調査を実施,情報収集を行った.
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今後の研究の推進方策 |
日欧比較研究については,年度末に欧州調査を実施,情報収集を行ったことから,来年度に鋭意取り組む.そのうえで,欧州との比較を踏まえて当初の研究計画で想定した通り,日本の政策変化(を阻害する)特殊要因の有無を確認する. これを踏まえて,国内アクター宛インタビューを実施,日本のエネルギー政策形成過程における変化の阻害・促進要因及び前提条件を特定し,日本のエネルギー政策改善につながる体系的知見を解明する. なお,日本の特殊要因によってはACF 枠組みの軽微な改善が必要との示唆もありうるところ,この有無についても,国際ジャーナル投稿論文の過程で分析していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー及び文献複写等で想定していた費用の使用額が想定を下回ったため.次年度はこれを想定している通り,インタビュー及び文献複写等で使用することを想定する.
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