2020年度は,残された課題と全体の取りまとめを行った.東南アジアなどの新興国では,現在,2輪車が普及しているが,経済成長とともにそれが4輪車に置き換わる可能性が指摘できる.その場合,廃棄の構造および関連産業の動向も変わるかどうかである.本研究では,日本,台湾,マレーシアの4輪車および2輪車の保有台数,新車販売台数を比較し,モータリゼーションの発展形を確認した.この結果,日本が早々に2輪車に比べて4輪車が上回り,その差を広げたのに対し,台湾は2輪車が優位である状況は変わらず,日本と台湾は発展形が異なることがわかった.また,マレーシアはその中間に位置し,2輪車と4輪車が同時に発展しており,必ずしも日本のように2輪車が4輪車に置き換わるという単純な構造ではないことが示された. 一方,2019年度に台湾とマレーシアの使用済み2輪車のリサイクル産業の調査を行ったが,2020年度はその調査結果の整理を行った.同時に日本の2輪車のリサイクル市場についても十分な整理はなかったため,それらを含めて日本と台湾の違いを考察した.日本は4輪車のほうが圧倒的に多いが,2輪車も相応に廃棄されており,そのうちの大多数が輸出されている.台湾は数量的に日本とあまり変わらないが,輸出に比べて国内処理が多い.その理由として,台湾において発生量の多さとともに再生資源業者の立地,リサイクル等制度の存在であることが指摘された.
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