研究課題/領域番号 |
17K00694
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
除本 理史 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
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研究分担者 |
関 耕平 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (10403445)
窪田 亜矢 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (30323520)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 復興行財政 / 復興基金 / 避難指示解除 / 特定復興再生拠点区域 / 地域再生 |
研究実績の概要 |
申請時の計画に従って、①東日本大震災以外の災害での復興基金制度の柔軟な活用事例、制度設計の研究、②福島原発被災地での現行の復興基金の運用実態の解明、③現行の復興政策ではこぼれ落ちる住民のニーズに関するきめ細かな把握、について、それぞれ担当の責任者を中心に研究を進めてきた。昨年度の研究において、帰還困難区域における「特定復興再生拠点区域」をめぐる課題の重要性が認識されたことから、これに該当する自治体についても調査対象として視野に入れることとした。また、被害救済や地域再生に関して、水俣など公害被害地域との比較を重視した。 ②③について、今年度は精力的に現地調査を実施した。南相馬市、双葉町の財政担当部局を訪問し、ヒアリングおよび資料収集をおこなった。また、それとあわせて、帰還住民、県外避難者の双方に対するヒアリングも、南相馬市小高区、いわき市、埼玉県加須市など各地で実施した。 ①②については、前記現地調査時に関係の研究者により研究会をおこなうとともに、外部専門家を招いた研究会も実施した。なお、対面での研究会だけでなく、インターネット会議システムなども用いて、適宜研究組織内の情報共有とディスカッションを進めるよう、努めてきた。 以上を通じて、避難自治体の復興行財政、および帰還住民/避難者の抱えるニーズに関する知見・資料が蓄積され、分析も進みつつある。その成果の一部は、『環境と公害』第47巻第4号の特集「福島原発被災からの復興に向けて」などで、論文として発表した。また、日本環境学会第44回研究発表会(2018年6月23-24日、三重大学)、第4回「原発と人権」研究交流集会(2018年7月28-29日、福島大学)の第2分科会「原発災害と政策転換」、および日本財政学会第75回大会(2018年10月20-21日、香川大学)の特別セッション「災害復興財政のあり方を考える」で口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画に従って、「5.研究実績の概要」に記載のとおり、3つの研究課題に取り組み、一定の成果もまとめつつある。一部の調査研究が最終年度に繰り越されているが、おおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、「5.研究実績の概要」に記載した①~③の課題それぞれについて前年度の作業を継続するとともに、研究成果の取りまとめに向けた検討を深める。2年間の研究で得られた知見をもとに、住民(帰還者/避難者)のニーズをふまえ、住民参加にもとづいて復興行財政をどう柔軟に運営していくべきか、具体的な提言をめざして研究を深化させたい。成果発表の場としては、研究代表者が編集委員会に参加している『環境と公害』(岩波書店より季刊)などでの論文掲載や、環境経済・政策学会(2019年6月、福島大学)での企画セッションなどを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に予定されていた一部の福島現地調査や研究会が、次年度に繰り越されたため、若干の次年度使用額が生じている。しかし、最終年度前半に、それらの繰り越された調査研究を実施予定であり、研究全体としてはおおむね順調に推移している。
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