平成31年度の研究実施計画に沿って、横浜市旭区内の高層集合住宅団地1棟において実装した住棟全体での電力消費量を表示する「コミュニティ表示」により年間を通じたデータの収集を行った。データ収集にあたっては、電力消費量の測定機器及び通信機器の調整を行い、住居配置別の6つの系統で電力消費量の測定と表示を行うシステムを整備した。 また、省エネ行動の社会性を高めるための介入実験として、平成30年度に行った居住者向け質問調査の結果に関する報告書(令和元年7月)、春季から夏季における電力測定データの結果に関する報告書(令和元年11月)、秋季~冬季における電力測定データの結果に関する報告書(令和2年3月)の3つの報告書を作成し、各世帯へ配布を行うとともに、PCやスマートホン・タブレット端末で住棟全体での電力消費量を表示・閲覧できることの周知を行った。さらに、令和2年2月には、対象地域の集会所において、神奈川県住宅供給公社の協力のもと「ウォームシェアイベント」として省エネ機器や家庭でできる省エネの工夫などを紹介するとともに、当研究プロジェクトや「コミュニティ表示」の概要について周知を行った。 一方、上記の介入実験を行った高層集合住宅団地1棟(72世帯)と、介入実験を行っていない近接の高層集合住宅団地2棟(130世帯)に対して、平成29年度~平成30年度に行った調査と同様な項目により質問紙調査を行い、対象世帯における省エネ行動とその意思決定要因の変化並びに対象群と統制群との比較などを行った。 なお、平成30年度までに収集した電力測定データをもとに、気象要因(気温や日照など)や建物要因(部屋の向き)が電力消費量の変動に与える影響について分析を行い、その結果について、環境科学会2019年会において学会発表を行った。
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