研究実績の概要 |
在来電源発電機の起動停止-経済運用(Unit Commitment with Economic Load Dispatching:UC-ELD)の簡易モデルを用いて,西日本と東日本について,2030年~2040年にかけて,再生可能エネルギー電力(再エネ電力)比率45%の達成を検討した.UC-ELDは,在来電源発電機の出力上昇下降速度,最低出力下限,LFC調整力等の条件を考慮して,22種類の発電機グループについて,1時間単位の燃料費最小化を計算する簡易モデルである.試算条件は,①挑戦的な再エネ目標として,全国で,風力を69GW,太陽光発電PVを100GW導入する.②再エネ電力を連系線に優先送電する,③デマンドレスポンス(需要管理)として,電気自動車(EV)の充電とヒートポンプの昼間加温を行う.④累積乗用車台数の20%をEVと想定した.⑤原子力発電を稼働ゼロとし,⑥連系線の運用容量を拡張する.⑦炭素税を実施する. 九州,四国,中国管区では,軽負荷期(5月など)に大規模な過剰が発生し,出力抑制が必要になる.九州-中国間,中国-関西間の連系線を拡張すれば,出力抑制率を大幅に削減できる.西日本は,夏季に風力出力が少ないため,関西管区では,夕方から夜の供給力がひっ迫する.需要を現状から15%削減する省エネを行えば,供給力不足を回避できる.西日本では,8月重負荷期には,再エネ電力比率が40%に届かない. 東日本では,北海道-東北間の連系線を1.8GW, 東北-東京間を10GW,東京-中部間を3GWに拡張するケースを試算した.東日本エリアにおいて,10月軽負荷期には,再エネ電力比率(需要比)は,55%,1月重負荷期には,57%となった.連系線を増強すれば,北海道,東北の再エネ出力抑制率を5%以下に抑制できる.連系線拡張は,出力抑制を削減し,北海道,東北の再エネ発電の事業性を顕著に改善する.
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