研究課題/領域番号 |
17K00706
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
木村 健一郎 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 主任研究員 (20597900)
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研究分担者 |
徳岡 良則 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (20442725)
山田 隆一 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (70760883)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非木材林産物 / ホウキグサ / 就労機会 / 土地利用制限 / バナナプランテーション |
研究実績の概要 |
ラオス中部のビエンチャン県の中山間地帯にあるN村において、2017年7月から2018年6月まで一年間にわたり、N村の全農家世帯において非木材林産物の採集記録調査を実施した。また、同村における農家の世帯調査を採取記録調査後に実施した。同村では、2012年においても同様の調査を実施していることから、今回収集したデータを2012年のデータと比較した。 その結果、2012年では乾季の村の現金収入源であった非木材林産物であるホウキグサについて、採集者数は2012年と変わらないものの、採集量は2012年の7割であり、その採集量は大幅に減少していたことが明らかになった。また、その他の非木材林産物においても、採集量は減少していたが、食料として自家消費用に採集している山菜については、変化はみられなかった。2012年のN村では、乾季は収入源が少なく、ホウキグサは乾季の貴重な収入源であった。そのホウキグサの採集量が2017年に減少していることは、興味深い結果であった。 この原因として、村近隣にバナナプランテーションが開設し、このバナナプランテーションに労働者として働きにでる世帯が増えたことが一因であると考えられた。しかし、2016年からN村内部に行政機関の出先機関が設置され、行政職員がN村内部において土地利用の制限を厳しく行い始めたことが分かった。そのため、これまで村人により違法に行われていた焼畑が減少した。この結果、違法な焼畑が減少し、焼畑後1~2年の休閑林に出現するホウキグサが減少したのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非木材林産物の採集量の収集及び農家の世帯調査が終了し、これらのデータの入力も完了した。 現在はデータの解析に着手し始めており、途中経過ではあるが、解析中のデータについて学会発表等を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
現地のデータ収集は完了し、暫定的な分析の結果、非木材林産物の採集量は減少傾向にあることがわかった。 この原因が、就労機会の増加によるものか、政府の土地政策による焼畑の減少による植生の変化が大きいかを分析する。 就労機会による変化ついては、農家調査の結果から明らかにし、植生の変化については衛星画像を用いて分析し、両者の結果から非木材林産物の採集量の減少の要因を分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在投稿中の論文の投稿費の請求がH31年度になったため、残額が生じた。 H31年度の主な支出は、論文執筆のための英文校閲費、投稿論文費、成果の内容をラオス国政府に提供するための渡航費、会議費を予定している。
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