研究課題/領域番号 |
17K00711
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
永瀬 彩子 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (80544535)
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研究分担者 |
小山 慎一 筑波大学, 芸術系, 教授 (40420913)
野村 昌史 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (50228368)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 都市養蜂 / 都市緑化 / 花粉分析 / 環境教育 |
研究実績の概要 |
1. 東京都中央区八重洲ブックセンター屋上養蜂におけるミツバチの訪花植物の調査を行った。ミツバチの体に付着して巣に持ち帰る花粉荷を月2回採集した。千葉大学園芸学部にて、花粉からのDNAを抽出し、plastid subtype identity (PSID)領域を増幅した後、PCR産物をダイレクトシークエンスした。配列情報を用いてBLAST検索して植物種を同定した。2018年6月から9月にかけて示された植物は、樹木はユリノキやサルスベリなど4種、草本はシロツメクサやオオバコ、ヨモギなど6種であった。ユリノキ、サルスベリ、シャリンバイの3種は、調査地周辺に街路樹として植えられており、ミツバチがそれらを利用した可能性が高い。本調査より明らかになった草本類は、都市でよく見られる雑草であり、その多くが外来種であった。これらは、除去の対象となることが多いが、都市養蜂では重要な役割を果たしていることが分かった。今後、江東区屋上、西千葉屋上、柏の葉キャンパスにて行われている養蜂から採集した花粉およびはちみつのDNAバーコード領域の解析を行い、データを精査する予定である。
2. 都市養蜂では、幅広い年齢層を対象とした採蜜などの体験、ミツバチの生態の観察会、ミツバチを通じて都市環境を考える教育などが行われている。しかし、一般市民の都市養蜂の認知度、どのような環境教育のイベントを望んでいるのか調査した研究はほとんど見当たらない。そこで、21名の学生を対象とした調査を行ったところ、約50%の学生が都市養蜂について知らなかった。また、はちみつの採集および料理教室などのイベントが人気があったが、都市緑化の促進など社会的な問題とのつながりを認識するような取り組みが重要であることが示唆された。本実験は予備実験として行った。今後は、都市養蜂の心理的な評価を様々な角度から行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データは順調に取れたが、分析方法を変更したため、収集した花粉の分析を終了することができず、予定していた訪花場所の研究を行うことができなかった。しかし、先に予定していた心理評価の予備実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、引き続き花粉の分析を行い、それをもとに訪花場所の研究を行う予定である。
研究計画では、ミツバチに超小型IC チップRadio Frequency Identification(RFID: 無線タグにより人やモノを識別・管理する仕組み)を搭載し、巣箱の入り口にRFIDを読み取るリーダを取り付けることで、ミツバチが巣箱へ出入りする時間や滞留時間などのデータを収集・解析し、その時の周辺環境との因果関係を特定する予定であったが、より広い範囲におけるミツバチの活動を調査する方法を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNA分析のための予算を平成30年度に残す必要があり、調整したため。
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