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2019 年度 実績報告書

19世紀英国における官立デザイン学校の素描教育に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K00717
研究機関大阪大学

研究代表者

竹内 有子  大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (80613984)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードデザイン教育 / デザイン史 / 美術教育 / 日英芸術交流 / アート・マネジメント
研究実績の概要

【2019年度】
英国の素描教育法が伝播した北米の事例について、ウォルター・スミス(Walter Smith,1836-86)が校長を務めたマサチューセッツ師範美術学校のシラバス・教科書・公文書類を通じて調査を行った。1870年代初頭、スミスは、19 世紀英国の官立デザイン学校が構築した国定教育課程(サウス・ケンジントン体制と呼ばれる)を、米国の師範学校および公教育に導入したが、そのままの形で移したのではなかった。また英国の教育と同様に、植物を用いた素描の方法論が踏襲された。モデルの植物を写実的に描くのではなく、抽象的な形態に描き替える方法である。マサチューセッツ師範美術学校の日本への影響関係において、間接的だが早くは、宮本三平『小学普通画学本』乙之部第二(1878年~)によるW・スミスの教科書からの引用図がある。他方1905年、米国の同校に留学した後、普通教育における図画教育に携わった白濱徴(東京美術学校教授)は、『新定画帖』に図案の構成を含めているが、英米のサウスケンジントン式による素描法の影響は薄く、むしろ小室信蔵に依拠している。同方式の直接的な影響は、手島精一・小室ら東京高等工業学校の工業図案科、さらに京都高等工芸学校等で導入された図案法に見られる。
【期間全体の研究成果】
19 世紀英国の官立デザイン学校が構築した素描教育の形成過程・デザインへの応用と展開・英国外への影響の実態について、①同校の有した課題「産業デザインが新ジャンルとして自律化するにあたり、美術とデザインの区別が理論化され、教育法に反映されたこと」、②素描教育の独自性「美術アカデミーと異なる、植物学を基にした新しい図案教授法の確立」、③展開の意義「デザインの語義が「素描」から「デザイン製品」に拡大され、デザイン原理の新しい意味性が教義に明文化されたこと」を明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] デザインと素描ー官立デザイン学校におけるデザイン概念の変容―2020

    • 著者名/発表者名
      竹内有子
    • 雑誌名

      美学

      巻: 71巻1号 ページ: 13-24

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] クリストファー・ドレッサー博士の子孫について2019

    • 著者名/発表者名
      竹内有子
    • 雑誌名

      郡山市立美術館『クリストファー・ドレッサーと正倉院宝物』展カタログ

      巻: ― ページ: 36-37

  • [学会発表] クリストファー・ドレッサーのジャポニスム序説 ー旧蔵資料に着目してー2020

    • 著者名/発表者名
      竹内有子
    • 学会等名
      第240回意匠学会研究例会

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公開日: 2021-01-27  

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